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もうどこも品切れだという。スタッフが検索してくれて、隣の駅に設置された臨時の販売所にはまだあると。終電は逃してしまうが止むを得ない。駆け込んで厄除け酒を呷ったのが丁度タイムリミットだった。隣にいた紳士は差し出されたコップに手を伸ばしたまま厄に取り憑かれ、そのまま倒れた。
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日本の神様は気さくな方なら賑やかなのも大好きだが、気難しい方だと大変におそろしい。一番怖い部類になると注連縄を張りに行く人間ですら何か怖い目に遭ったり病気をしたりするそうで、地形的に楽に歩けそうでも人の踏み入った形跡が無いところには用心しろ、と教わっている。

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うちの村では蟹を食べない。奥山の巨大な蟹に水を引いてもらった恩があるからという。
でもそれは嘘だった。祖先は蟹を騙したのだ。蟹は恨みを忘れておらず、数十年おきに対価を取り立てる。
僕がその対価として取り立てられることを知ったのは、指が蟹の動きしかできなくなった時だった。
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特に新しい道ができてあまり車が通らなくなった、オヒシバなどが生えてるような旧道がいい。ガードレールの崖側に、誰かの名前が書いてある。ほぼ必ず、書かれた人か書いた人は故人だ。最寄りの集落でその名を口にしてはいけない。
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正月には妻の実家へ挨拶に行く。旧家の割に格式張ったところがあまり無く、集まる親類縁者も陽気な人たちなので苦にはならない。
子供たちもたくさん来るのでお年玉を用意しているが、どういうわけか、数をきちんと数えて用意するポチ袋がいつも必ず一つ足りなくなる。
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老人は小さく切られて雑煮椀に沈む餅を眺めている。喉詰まり防止のためとはいえ、こうなると餅の味わいも何もない。噛み切る歯応え、口蓋に伝わる温度と柔らかさ、それが餅を喰う意義。
「餅のお代わりが欲しいな、この大きさなら十ほど」
老人は小さな餅十個をまとめて口に押し込む。
これだ。
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歳神様をお迎えする習慣はあるが、いつ帰るのだろう? 今年来た歳神様に尋くと、どこから説明したもんかなと難しい顔をする。大福帳に突然方程式をいくつも並べ、おい長男、AdS/CFT対応はわかるかと言うので、物理は専攻してないと白状すると、これのもう少し先の領域の話なんやと苦笑いされた。
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良い子は年末にプレゼントがもらえる習慣がある。村長、教師、党役員、経済管理官、普段は怖い大人たちもこの日は本当に優しい顔になった。
そして今年、私もついにプレゼント役を務めることになった。年明けには政治犯として処刑されるのだが、あの人たちのように優しい顔ができるだろうか。
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廃校の取り壊しの際、給食調理室にあった井戸を畳む祭祀が行われたのだが、反村長派の議員がこの費用を問題にしてしまった。反村長派のボスでさえ「それはまずい」と止めたのだが、翌月、彼の胃に癌が見つかる。こうなるともう止まらない。廃校跡地の利用計画は二十年経つ今でも決まっていない。
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戦争が終わっても食糧難は終わらなかった。校庭で子供たちも一緒に作った芋は給食に出るはずだったが、減り方が早い。教師の一人が夕方袋を提げて歩く後を尾けて行けば、半分崩れて使わなくなった防空壕に犬が寝ており、それに与えていた。
犬の脚は切り取られていた。
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知っている。今書いているこの怪談を私は知っている。時事題材を絡めたオリジナルの創作で、こんなのは昨日まで誰も書けるはずがないのに。既視感どころではない、「知っている」。一字一句。よく知っているオチまで一気に、指が勝手に動いて書き上げてしまいそう。私は全身の力を振り絞って指を
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カニキキョウという植物を探していると言われたが、蟹桔梗は桔梗モチーフの家紋の一種で、花や茎や葉の配置で蟹の形にしたもの。そう教えたのが何年か前なのだけど、再び連絡があった。混ぜてみたらできたそうだ。何ができたって? 元気に増えてもいるそうだ。どういうこと?
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物音がしても毛布から顔を出してはいけない。けどその年は好奇心に負けた。月明かりに赤い服の後ろ姿だけが見えた。翌朝それを言うと、父は真っ青になってどこかへ電話をかけ、町中の人が動き出す。
やがて僕は赤い服を着た死体のところへ連れて行かれた。僕のしたことの結果がそれだった。
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異界の扉は山奥や孤島とは限らない。歓声の絶えないアーケード街の一角にもある。人の姿に化けられぬ者は来られない? そんなことはない、俺もこうして人を呑みに来ておるよ。そう言ってグラスの中の酒は笑う。仄暗いアーケードの下、明かりは鋭いように見えて弱く、落とす影から他の声ならぬ声。
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テーブルに向かおうとするバイトを呼び止めた。
「あのお客様は亡くなってからもいらしてくださってる」
「するとマスクをしてないのは」
「その前からだから」
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技術的には拙いと言わざるを得ない。パースや光源のズレがそのままだ。長くない生涯の割には写っている写真は多い方だろうが、合成素材として使えるものはその一部。どう辿り着いたのかは判らないが、知らない事故死した子供の写真に自分が寄り添う合成を、彼女はもう何千枚作っただろうか。
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20XX年、北半球ではコセンダングサを見かけると即座に通報されるようになっていた。B. pilosaの変種の一つがコンクリートを壊すためである。この変種は根にBeggiatoa属とThiobacillus属を「飼い」、硫酸でコンクリートを破壊する。気が付いた時には河川の護岸や港湾は6割が崩壊していたのだ。
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小学校に勤めていると忘れがちだが、170cmは決して長身な方ではない。用事があってバス停に並ぶと周囲にできる人の壁で視界が遮られ、そのことを思い出す。目の前には白いワンピースの背中。横を見ると白いワンピースの腰のあたり。僕の視線は周囲の女性たちの腹くらいの高さしかない。
……?
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チェスのルールを使ったパズルは実戦寄りのストゥディオと曲芸のようなプロブレマに分かれている。この悪魔が好きなのはプロブレマ作りだが、ほぼ必ずどこかに穴があって美しくない。それを言うと悔しがって、じゃあこれはどうだと次のを出してきて、たぶんもう二百年くらいこうしている。
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姉は何かと豪快な人で、店員が丼に指を突っ込んでラーメンを持ってきても気にせず食っていた。
ぼくにはこれは無理だ。
今日もサンドイッチに指が入ってるのを気にせず頬張っている。
ぼくにはこれは無理だ。
「姉ちゃん、それどこで買うたん?」
「うちで自分で作った」
ぼくにはこれは無理だ。
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くまのズデンカといぬのレオシュといえば、我が町が生んだ国民的キャラクターだった。市庁舎の前のブロンズ像は毎日、子供達や元子供達と一緒に写真に収まった。
それも昔の話。
市庁舎は軍政本部になり王宮になり更地になった。
人は消えた。
像はいつしか座り込み、誰も写真を撮りに来ない。
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養子縁組で当家の当主を嗣いだ後、何をしなければならないか、何をしてはいけないか。
説明を進めるうちに娘の顔は曇る。
「気に入らないやつを消すとか好きにできるわけじゃないんですか」
そういうところが君を選んだ理由なんだけどね、法律は守りなさい。
「意外に窮屈ですね」
まあね。
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廃品置き場の古いモニタには電気など通っていないはすだが、突如明るく。
ひびの裏に白い直線が走り、その向こうにざらざらの人影が浮かぶ。
晩秋の廃品置き場に突如現れたぬくもりは、黒い昆虫を呼び寄せる。
這い込む虫。
逃げ場は無い。
手と髪をめちゃくちゃに振り回す人影。
「これいやー」
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冷たい雨の降る夜は
ほかほかココアをさあどうぞ
そうだうちにはハロウィンの
すてきなコスもあるのよね
どうかなこれは似合うかな
ティアラにウィグにネックレス
とてもやさしいおばさんの
爪の間の黒いもの
奥から呼ばれて振り向いた
耳の後ろの傷の跡
キャンディ袋に入ってた
小さなメモには

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電話ボックスの怪談は割と盛り上がるネタで、今夜もお客さんが話題にしている。この飲み屋小路の外れにも一つあって、お客さんは中に人がいるのをよく見るけど後ろ姿ばかりで顔が見えたことは無い、と。
店の女の子たちは出番を悟る。
声を揃えて
「その人はきっとこんな顔ですよ」
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兄は実家の裏山のお宮様の祭りに行った記憶があると言っていた。裏山には神社どころか杉造林と雑木林しかないが、その雑木林のお宮様へ3歳頃に行ったという。
その後、明治時代の地籍図を見ると確かに神社があったらしいのだけど、その発見をメールで寄越したすぐ後に、兄は行方不明になった。
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路上喫煙禁止条例が施行されてもう何年にもなるが、二丁目の書店前の歩道橋に路上喫煙している男性がいるという通報が後を絶たない。この男性の正体は既に判明していて、記録されている限り県内で最も多くの人に目撃された幽霊ということになる。
#呟怖 https://t.co/sApqM8NtmP

先代はオカルトめいた雰囲気を嫌い、白衣でビーカーから試験管に移して口に運んでいた。当代は堅苦しいのが嫌いで、リラックスしたカフェのような雰囲気を好む。ただ、目隠しと耳栓は変わらない。
水を口に含んでブドウの作況を予言する、それ自体はどうしようもなく超自然の技なのだけど。
#呟怖 https://t.co/3KHGFMKM6H

空き瓶、紙袋、トレイ、混じって転がる親友の姿。おい起きろー。もぞもぞ動き出すやつの手は眼鏡を探しているのか。スマホに着信。目の前のこいつからの。どういうことだ?
「昨夜は行けんで済まんかった」
「今どこ?」
「家だが」
では目の前のこれは誰?
手が眼鏡を探し当てた。
#呟怖 https://t.co/F931VrLv0n

延暦寺と敵対した源頼豪は受けた非道な仕打ちに報いるため死後巨大な鼠に変じ、宝物である経典を喰い荒らしたという。
なるほど気持ちはわかった。
仕込まれていたマルウェア についていた名前は"tesso"。でもこれはダメなんだ。
中身を入れ替えてさらに悪質にした改良版を仕込み、冥福を祈る。
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