呟怖.ORG | 呟怖

呟怖は、Twitterでハッシュタグ『#呟怖』をつけてツイートすれば誰でも参加、投稿できる140文字以内の創作・実話の怖い話です。呟怖.ORGには、日々投稿される呟怖から転載または朗読やイラストなど二次利用を許可されたものが集まっています。作品の二次利用に関する約束は掲載作品の転載、二次利用についてをご覧ください。自分の呟怖作品も、他の掲載作品同様に読んでいいよ・描いていいよという方は、ぜひ参加ボタンから呟怖作家としてご参加ください。その他ご不明なことはガイドをご覧ください。

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呟怖.ORGと参加について

蝶が舞う花畑
赤や黄色の花々の隙間、青白い手が指を伸ばしている
いくつかの蝶は時折その指に止まっては
花畑を離れ、急ぐようにどこかへ飛び去っていった

#呟怖

亡くなった旧友が、久方ぶりに夢枕に立つ
共に過ごせた頃の話、共に過ごせなかった頃の話
一足先に酒でも酌み交わそうかと談笑していると
突然、思い出したように

「ムラサキカガミって覚えてる?」

悲し気に微笑む彼女が、フッと消えた向こう
時計の針が 0 時を指した

#呟怖 https://t.co/Et0dwMh2Qb

いつからか身についた悪癖
書店員の目を盗んで、くすねた文庫本を開く

そこには、見開きの全てを埋める
無数の "目" という文字が、私を睨みつけていた

#呟怖

廃墟を訪れた知人が、天井の崩落で亡くなった
同行した仲間が言うには、天井から砂が降ったので
崩落を察知しすぐに逃げたのだが
彼は気にも留めずにその場に居たのだという

以前、砂をかけるだけの怪異に憑かれたと
笑いながら話していたが……

#呟怖 https://t.co/mMgMKVJ2cw

電車の時計がズレている
駅の時計もズレている
店の時計も何もかも
どうにも街の様子がおかしい

道行く人の、奇妙な視線をかいくぐり
自宅の前にたどり着いたとき
扉からは、知らない家族が現れた

そうか、ズレてしまったのは
#呟怖 https://t.co/At3IYZDnhy

雨の早朝、家を出て傘を開くと気づいた
道行く誰もが傘をさしていない

急ぐ様子もなく悠々と歩く彼ら
つられて傘を閉じる

すると、雨は容赦なく私を濡らす
見渡せば、辺りに人影はなかった

#呟怖

ひとり暮らしの我が家
風呂場の戸が、開いて閉じる音がした

恐る恐る廊下へ
風呂場に明かりはない

今夜は入浴を控えようと踵を返すと
ポツポツと落ちた水滴が
開け放した私室の、戸の桟を越えるのが見えた

#呟怖

視界の隅で赤い風船が揺れた
振り返ると駆けていく子供
手に持っているのは猫のキャラクターを模した風船

また視界の隅で赤い風船が揺れた
振り返ると今度は誰もいない

もう一度赤い風船が揺れる
振り返ると、目と鼻の先に真っ赤なマネキン
それは高笑いと共に、溶けるように消えた

#呟怖

道端にヘビが落ちている

落ちているというのは、それが道路の真ん中で微動だにしないからであり
這い出てくるような藪が辺りに見当たらないからでもある

そしてもう一つ
傍らで人の形をした黒い靄が、それを指さし拾えとばかりに
白昼堂々、こちらを睨みつけているからでもある

#呟怖

駅構内の自販機
ボタンを押すが、缶の落ちる音がしない
屈んで覗くと毛むくじゃらの何かが
窮屈そうに甘苦い息を垂れ流していた

思わず上げた悲鳴に、背後を振り向くも
幸い痴態は見られていないようだ

すると、背後でガコンと缶の落ちる音
私は見向きもせずベンチに座り、そしらぬ顔をした

#呟怖

千鳥足で歩く夜道
戯れに月に手を伸ばしてみる

噛みつかれた

月のように見えたそれは
驚いて振り回す私の手の動きに合わせ
何度か光の尾を引いて、そして消えた

#呟怖

ある晩、庭の桑の木が、ガサガサと音を立てていた
カラスが実を啄みに来たのだろうか
こんな夜更けに珍しい

そう思って窓から目を凝らすと
薄闇に紛れるほど青黒い色をした
いくつかの手首が、枝を這いまわっていた

#呟怖

歩道橋にて、前を歩く男が天を仰ぐ
つられて見上げるも、雲一つない快晴があるばかり

一面の青い視界から視線を戻すと
眼下にあったはずの、国道の中央に立っている

振り返れば、ニヤニヤと見下ろす先ほどの男が見えたが
クラクションを高らかに鳴らすトラックが、すぐに視界を塞いでしまった

#呟怖

蝋燭や焚火を見ていると、何故だか落ち着く
揺らめく炎には、心を鎮める効果があるらしい
しかし、それも時と場合

真夜中、ひとりでに開いた仏壇
その左手の蝋燭に灯った炎は、私の心を知ってか
徐々に揺らめきを大きくしていった

#呟怖

8月のプールで溺れた僕
進む季節をよそに、僕は8月の少年のまま
何度も何度も、ひとりプールでもがいている

やっと巡ってきた8月に、今年も変わらず賑わうプール
そろそろひとりは、寂しいかもしれない

#呟怖 https://t.co/5ciRP6q0el

深夜、シャッターを下ろした酒屋の前
何を有難がってか、誘蛾灯の仄かな青に
熱心に拍手を打ち付ける老人がいた

気味の悪い光景に呆けてしまったが
ふと、老人の足元に散らばる虫の亡骸に気が付いた

誘蛾灯が獲物を捕らえる音は聞こえない
今度は呆ける間もなく、すぐにその場を立ち去った

#呟怖

「手首なんて切ったって死ねやしないのに」

休日の校舎、教室から声が聞こえた
覗けば、うんざり顔の女生徒が机に腰掛け
視線の先では白い腕が、橙色の陽に照らされている

慌てて教室の戸を開けた
しかしそこには誰もいない

手首を切ったくらいでは……
では、その後何が起こったというのか

#呟怖

「失せ物を占って欲しいのだが」

目の前の青白い顔の男を
占い師はとても同じ生き物だと思えなかった

この手の輩は "自分の体を探せ" とでも言うのだろう
彼が目も合わせず、他をあたってくれとあしらうと

「いや、貴方でなければいけない」
「昨日埋めた場所にないんだ。貴方の体が」

#呟怖

改札前のベンチ
駅構内の本屋に平積みになっていた本で時間をつぶす

「……ハズレだな」

そう言って早々に本を閉じた
すると、パタンと鳴る紙の音と共に構内の喧騒が消える

後には、ピーンポーンという間の抜けた音だけが
人影の消えた駅に響いていた

#呟怖

放課後の誰もない音楽室
二人の小学生は目的もなくそこにいた

「ギロの音って "ギョワッ" だよな」

「いや "ギャヨッ" だろ」

与太話をしていると、物音がした
見れば、教室の真ん中にギロが落ちている
そしてそれは、小さく跳ねると
あの独特な音を一度鳴らして、それきり動かなくなった

#呟怖

立ち寄った境内にて
木陰に漏れ出た日の光が、細く一点を照らしている

風に揺れる木々の影
しかし木漏れ日は微動だにしない
それどころか、徐々にこちらへ進み出てくる
そして木陰を離れ夏空の下、境内の土に溶けた

木漏れ日のピンライトが照らした、何者かの位置は
今はもう分からない

#呟怖

鶏小屋に羽が舞っている
外に出された子供は泣いている
天井には、赤黒い塊がへばりついている

物音に驚き、飛んで小屋の天井にぶつかり
打ち所が悪く、それで命を落とす鶏は珍しくない

ここでは一体、どれほど恐ろしい物音がたったのだろう
見上げた先から羽が一片、はらりと舞い落ちた

#呟怖

オフィスに一人残り、仕事を片づけていた
突然、冷蔵庫がピーピーと鳴る

席を立ち、その前へ
扉が半開きのようだった

そっと押して閉める
しかし音は止まらない

訝しんで扉を開くと、口を尖らせピーピーと鳴く
少年の首がこちらを見ていた

#呟怖

スイカの種を飲むと、腹から芽が出てスイカがなる
なんて与太話がある

何故、与太話と言い切れるか
行方知らずの知人から、スイカがなることはなかったからだ

大家の話によれば、彼が消えた部屋には
無造作に脱がれた服の上に、丸々としたスイカが一玉
置いてあったのだそうだ

#呟怖

インターネットを見て
息の詰まる思いがする

それは、ネットの海から彼らが
貴方に湯水の如く情報を注ぎ
溺れさせようとしているのです

海に来る人間も、すっかり減った昨今
視えぬ柄杓の底を抜く術はありませんから
住処を移した彼らに見染められぬよう
我々は祈る事しかできないのでしょう

#呟怖 https://t.co/hEjrynRibs

昔、ここでアパートの火災があった
煙草の不始末と報道されていたと思う
住人も皆、建物と一緒に燃え尽きてしまった

それから毎年、その事件の日の夜
跡地に、赤く揺らめくアパートが浮かび上がり
中からはうめき声と、壁や戸を叩く音が聞こえるのだという

あれから4年
今年も賑やかなことだ

#呟怖 https://t.co/4p4QOxkq6w

「この頃物忘れが酷くて」

趣味の粘土細工をしながら、彼はぼやく
本から目を離し、作業台に向かう背を見る

丹精込めて粘土をこねる彼を、クレイマーとでも呼ぶのなら
丹精の他、知識経験感情記憶
全て吸い取る、作業台の上の人形は
やがて彼に成り代わる、クレイマンとでも申しましょうか

#呟怖 https://t.co/UzW36rgU91

自転車のカゴを外してしまおう
心当たりのない空き缶を見てそう思った
煩わしいが、その辺に放り捨てれば私も同族か

そんなことを思っていると、パッケージの男と目が合う
簡略化された絵に、やけに生々しい瞳が輝いている
まばたきをするとそれを真似てか
彼もひとつ、まばたきをした

#呟怖

コンビニ帰りの午後
閑静な住宅街に人影はない

目の前に黒い線が一筋浮かんでいた
髪の毛ほどのそれは、空間に固定されたようにそこに在る

訝しんで見つめていると、線が突然楕円になった
そして真っ暗なその中から、何者かが見つめ返してきた

#呟怖

電車に揺られ窓を見ると
ガラスに映る私は微笑んでいる

視線を外し息を整え
少しずれ落ちていたマスクをそっと持ち上げた

#呟怖

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