呟怖.ORG | 呟怖

呟怖は、Twitterでハッシュタグ『#呟怖』をつけてツイートすれば誰でも参加、投稿できる140文字以内の創作・実話の怖い話です。呟怖.ORGには、日々投稿される呟怖から転載または朗読やイラストなど二次利用を許可されたものが集まっています。作品の二次利用に関する約束は掲載作品の転載、二次利用についてをご覧ください。自分の呟怖作品も、他の掲載作品同様に読んでいいよ・描いていいよという方は、ぜひ参加ボタンから呟怖作家としてご参加ください。その他ご不明なことはガイドをご覧ください。

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呟怖.ORGと参加について

賃貸住宅4階、男はベランダにぶら下がる猫を見た
助け出そうと飛び出すが、そこには何者の姿もない

呆然としながら、部屋に戻ろうとすると
いつの間にか閉じたガラスの窓が
しっかりと施錠されていた

覗いた部屋では、あらゆるものがひっくり返り
ずたずたにされた、布団の中綿が舞っている

#呟怖

総菜売り場の棚に少年が腰かけている
ギョッとっとしてしまったが、瞬きのうちに消えた

気を取り直し、ディスプレイのブドウを避け
酒を一本、カゴに入れ会計へ

買い忘れを思い出し、立ち寄ったコンビニ
レジ横のケースに詰まった鶏が
こちらをじっと見つめていた

#呟怖

有名になり、今は廃寺でワシの姿を見た人間は
謎を出す前に "カニじゃ!カニじゃ!" と得意げに法具を投げてくる。

最近はエジプトの石像に化けて出るようにしている。
すると "答えは人間じゃ!" と騒ぎ立てるのだから
容易く獲物にありつける。

相手が妖でも、話はキチンと聞くもんじゃよ。

#呟怖 https://t.co/onMPUSZ2gV

燦々と陽の照る田舎道
今日は随分と暑い

喉の渇きに参っていると
道端に地蔵と、瑞々しいオレンジが四つ
思わず足を止め、一つくらい……いや、いかんいかん

再び歩き出すと、背後から物音がした
振り返ると、地蔵もオレンジも土くれになっていた

物音は、舌打ちのように聞こえた気もする

#呟怖

朝のラジオが今日の天気を告げている
"……が降る" 上手くは聞き取れなかったが
この季節に雪ということもあるまい

傘の用意をと思いながら、まだ晴れている外に目をやると
今まさに降ってきた者の、逆さまな視線がこちらを捕らえた

#呟怖

「おゆかい?おゆかい?」

愉快そうに問いかける歯のない老人を
"あぁ、そうだな" とあしらう

「そうか、老ゆか」

振り返れば、老人は若々しい青年になり
ニヤニヤと歯を剥いている

そして、急に皺だらけになった自分の手に
黄ばんだ歯が口から転げ落ちたとき
私は、何が起きたのかを悟った

#呟怖 https://t.co/B81X1LrOfb

ある日、全身が真っ青な女が道端の柵で首を括っていた
異様な光景に、この世のものではないと直感し
迷わず無視を決め込む

後日知人にその話をすると
気味悪がってか、口を聞いてくれなくなった

その後、画材屋で一度見かけたきり
彼とはもう何年も会っていない

#呟怖

「お誕生日おめでとう!」

少年少女がクラッカーを引くと
火薬と紙テープの代わりに、主賓の頭が爆ぜて散った
一転、阿鼻叫喚のおぞましい宴席
誕生日席の頭蓋骨だけが、無垢に白く輝いている

#呟怖

男が海で泳いでいると、怪異の女が足にしがみつく
除霊の心得のある彼は、すかさず腕を振るいそれを祓う
すると、絶叫と共に女の姿が歪んだ

突然、男の足が強い力で海底へ引かれる
たまらず海に沈む彼が、足元を見れば
女は絡ませた手足はそのままに、ケラケラと笑う地蔵になっていたという

#呟怖 https://t.co/2fQXBxZ8gm

昼下がりの普通列車
向かいに座る女性が、本を逆さに構えている
不思議に思っていると電車は駅に停車し
男性が一人乗り込んできた

彼は本を読む彼女を意に介さず
その上に腰掛けようとする

あっと思った束の間、座席の彼女は逆さまの本と共に
煙のように消えてしまった

#呟怖

ポツンと立つ街灯の下を通ると、影が妙な動きをした
私の脚を軸に、時計の針のようにグルグルと回る
何事かと見渡せば、ヒョロリとした街灯の先
電灯部分に生えた手首が、立てた指を回している

指は呆気に取られる私の影を、もう二度三度操ると
最後に一度指を鳴らし、街灯の光ごと闇に消えた

#呟怖

青年がボンヤリとした顔で
歩道の真ん中、口を開けて立っている
思わずたじろぐと、大きく開いた口はそのままに
視線だけがこちらを向いた

突然上着のポケットから、微かな音が聞こえだす
思わず手を入れ、中身を取り出せば
つけ忘れていた無線のイヤホンから
男の絶叫が漏れ聞こえていた

#呟怖

帰路の終わり、自宅の扉が見えると
その前にいつも長いコートの男がいる
アパート横の木とフェンスの影の重なりが
彼を形成している

重なりはもう数歩の角度で崩れ、彼は姿を消す
毎日、少し哀れに思う

考えて数歩

いつものように、彼はスッと姿を消した
いつもと違い、バタンと扉の音がした

#呟怖

瞬きをすると人が一人消えた
驚いて二つ瞬けば、すれ違った気配が二人消えた
辺りにはもう誰もいない

乾きだした眼球、次に消えるのは

#呟怖

スラリとした体と黒々とした毛髪
そんなものを悪魔と取引した中年男がいた
その結果は、やはりロクなものではない

涙に暮れるその男
せめてこの悪行を誰かに伝えようと思い立つ

しかし残された男の生涯で
人と出会うという稀有な出来事は
ついぞ、起こることはなかったという

#呟怖 https://t.co/zBjAUo76b3

冬が終わり、近所の H 君が居なくなった

しばらくして H 君の学校で、校庭の桜が満開になった
一本だけ、やけに鮮やかな花を咲かせている
学校の噂では H 君がその下に埋まっているらしい

いや?その隣だよ?

#呟怖

目の前のガス台でヤカンが鳴いている

コーヒーを淹れようと、五徳に置いたまではよかった
しばらくして、音に呼ばれキッチンへ出向いたとき
コンロに火をつけ忘れていた事に気がついたのだ

湯気もなく、ピーピーと鳴くそれをどうしたものか
先ほどからずっと、決めあぐねている

#呟怖

昨晩は飲みすぎた
どうやって帰ってきたのか記憶にない

今は何時かと時計を探していると、玄関の扉が開く
見れば大家が作業服の男を従え、ずかずかと入ってくる

何事かと問う私を意に介さず、こちらへ歩む彼らは
そのまま、私をすり抜けていった
#呟怖

珍しい用事で早朝に家を出ると
顔をこわばらせた男が、直立不動で佇んでいた
関わるべきでないなと、足早に前を通り過ぎる

すると背後で破裂音がした
驚いて振り返ると、男の姿はなく
はじけ飛んだ衣類だけが、その場に残されていた

#呟怖

ある映画のエンドロールには、一人の男の名しかない
金にものを言わせ、全て自分の仕事であるかのように
クレジットを改変したのだという

映画が公開されて間もなく、男は変死した
死因は過労と老衰で、まるで何十人もの人生を
一度に過ごしたかのようであったそうだ

#呟怖 https://t.co/d4iNOPYhYy

チョコレートをかじると、トロリと何かが流れ出た
パッケージを見るが、洋酒が入っているものではない
恐る恐る吐き出すと、口に入れた物とは似ても似つかぬ
つぶれた目玉が、そこにはあった

#呟怖

電線の隙間を縫うように、大きな金魚が数匹飛んでいる
呆気に取られていると、カラスが舞い降りた
カラスは金魚を食らいつくし、こちらに気づくと
首をひねりながら、ジッと見返してくる

数日前に道端で倒れ、視力を失ったという男は
最後に見た景色をそう語った

#呟怖

粗大ごみの冷蔵庫を見かけた
何故だかその扉を、開かねばならないと思った
人目を気にしながら、そっと扉を開くも
特に変わった所はない

気恥ずかしく思い、パタリと扉を閉めると
貼られた回収シールに、感謝の言葉が書き足されていた

#呟怖

空き缶を潰すと妙な手応えがあった
訝しんで揺するが、何かが入っている様子もなく
手に感じる重みも、空のアルミ缶のそれである

気のせいかと、思い直したとき
左の足首を何者かに、ギュッと握られた

#呟怖

電車に揺られていると、隣の少女が不意に笑う
横目で見れば、スマートフォンを覗き込んでいる
今の子は何を面白く感じるのだろうな、と思いながら視線を前に戻すと
隣に座っていたはずの少女が、すぐ目の前に立ち
奇妙な図形が表示された液晶を、私に向かい掲げていた

#呟怖

"血と海水はよく似ている"

寺院のワイン蔵に忍び込んだ男達は
呑気に雑学を披露し合い、仕事を始めた

"ワインは聖者の血の象徴だというから"
"じゃあ、ここは海みたいなもんだな"

そのとき巨大な樽が爆ぜ、つややかな鱗と輝く瞳が
溢れるワインの海を泳ぎ、這い出してきたという

#呟怖 https://t.co/CuLYD7YUYZ

ぼんやりと浸かっていた湯舟から上がる
温かい湯から抜け、少し肌寒い空気を感じて振り向けば
湯舟の中に沈みゆく、私の体がそこにあった

#呟怖

ショッピングモールをぶらついていると
服屋の店頭に、マネキンが並んでいた
しばらく行くと、次は楽器屋の前に
書店、食事処、アイスクリーム屋
あらゆる店頭にマネキンが並んでいる

不思議に思いながらも、車にもどると
私の車の前にも、それらは並んでいた

#呟怖

黒い肌着に洗剤が白く溶け残っている
指で触れようとすると、それは虫のように這って逃げた
思わず取り落した洗濯物の裏に回り込んだそれは
しかし、めくり上げるとどこにも見当たらない

#呟怖

目の前に見える顔が、何やらわめいている
大きく目を剥きながら、喉元を掻き毟り出す
苦しみ抜いて今、命尽きるかのような形相をしている

洗面台に立つ私はただ、呆然とするしかなかった

#呟怖

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