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呟怖は、Twitterでハッシュタグ『#呟怖』をつけてツイートすれば誰でも参加、投稿できる140文字以内の創作・実話の怖い話です。呟怖.ORGには、日々投稿される呟怖から転載または朗読やイラストなど二次利用を許可されたものが集まっています。作品の二次利用に関する約束は掲載作品の転載、二次利用についてをご覧ください。自分の呟怖作品も、他の掲載作品同様に読んでいいよ・描いていいよという方は、ぜひ参加ボタンから呟怖作家としてご参加ください。その他ご不明なことはガイドをご覧ください。

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呟怖.ORGと参加について

#呟怖 エレベーター。動きませんね。非常灯も、ついに消えてしまった。この大地震では、待つしかないでしょう。そんなに、怖がらずとも。ああ、真っ暗闇で、瞳が光っていますか。正体が、ばれちゃ仕方ありません。私、キツネなんですよ。それではあなたを食うことにします。腹がへりました。ああん。

#呟怖 シャッター街の路地。そのさらに裏手のバー。シャッターをすり抜ける。カウンターの隅に座る。つい来てしまう。いつもの場所だ。マスターがボトルを傾ける。酒を注ぐ。幻の音がする。俺はグラスを口に運ぶ。死んだ歌手が懐メロを歌う。酔生夢死。それが俺たちだ。死んだ黒猫が、横切っていく。

#呟怖 人間がきらいだ。できるだけひとりになりたい。事故物件だというから、住むことにしたのに。なんということか。いまでは、すべての部屋に、入居者がいる。安かったのだろう。追い出そうとするが、出ていかない。むかついている。暴れてやろうか。「おい、四号室。ほんとうに出る、らしいぜ」

#呟怖 男湯と女湯の間の壁に、大きな富士山の絵が描いてある。僕が眺めていると、山の向こうから白い雲のようなものが、もくもくと湧き出てきた。なんだろうと思っているうちに、絵の端から壁を通り抜けて消えた。女湯から悲鳴がした。煙草屋のおばあさんが倒れたという。その日のうちになくなった。

#呟怖 ねえ、おじさん。ぼくって。目がいいんだよ。他の人には、見えないものまで、見えるんだ。だって、目が三つあるんだも。ほおら。額に三つ目のひとみが、開いたでしょ。もう、それしか見えない。ぼくの言うことしかきこえない。わかったら。あのお坊さん、殺してきて。ぼくには、じゃまなんだ。

#呟怖 その村の人々は、みなが、ふくよかな耳たぶの持ち主である。切れ長の瞳。小さな唇。いかにも円満の相だった。丸く大きな銀の耳輪をつけている。リンリンと鳴る。争いの声はない。平和な村落に思えた。しかし、そこを通り過ぎてから、誰一人として、通りで会話をしていないことに、気が付いた。

#呟怖 ねえ、もう帰ろうよ。おにいちゃん。この沼には、河童がいるんだよ。行っちゃいけないって、おかあちゃんも、いってたでしょ。暗くなってきたし。へんな水音も、さっきしたし。ひきずりこまれるよ。帰ろうよ。ねえ、どうして、お兄ちゃんのお手て、こんなに濡れているの。それに、泥くさいし。

#呟怖 骨董商のオヤジさんから、「古い壺の中には、骨壺に使われていたものがあるからね」と注意されていた。どうもあやしかった。だが、気品のある姿に、ひきつけられた。手に入れた。壺の底から、砂の流れる音が、絶え間なくしている。せせらぎのようだ。仕事が、手につかない。困ってしまう。

#呟怖 県内で、最も古いトンネルの一つです。四百年以上がたっています。岩山に穴をあけました。すべて手彫り。鑿あとが、生々しく残っています。主に、囚人が、働かされました。辛い労働で、次々と、犠牲者が出たそうです。ところで、あなたは、どなたですか?どうして、こんなに暗いんですかね。

#呟怖 道を間違えた。廃鉱へ行く山道を走っているらしい。霧が濃く見通しが悪い。ヘルメットをかぶった作業服の人が、ライトの光の中に浮かび上がった。両手で×を作っている。この先は工事中で、通行止めらしい。Uターンしてもどった。しかし、何の物音も、しなかった。何の工事をしていたのだろう。

#呟怖 黒髪を長くのばし、眉の上で切りそろえている。ぽっちゃりとした赤い色のくちびる。三人の女性が、横須賀線に乗っている。他人同士のようだ。たがいに視線を合わせない。武蔵小杉駅で、そろって下車した。前にも、まったく同じ光景を見た。マクベスの魔女の集会でも、あるのだろうか。

#呟怖 ホスピスは大病院の五階だった。看護学校の実習で行った。清潔できれいだ。人生の最期を迎える。平穏な場所。一つの病室にだけ、影が濃い。だれもいないはずのベッドに、半透明の上半身だけの影が、起き上っている。手招きをしている。そんな気がした。私の担当した患者は、そこで亡くなった。

#呟怖 定食屋で猫飯を食う。テレビでは、ひどいニュースが流れる。胸が痛む。人間の中のばけものを、闇から闇に葬るのが、俺たち猫男の仕事だ。しかし、間に合わない。俺達も、老いた。数が減っている。人間たちにも、かつてはありえないような犯罪が増えていると、見えている事だろう。さあ狩りだ。

#呟怖 雪景色だ。誰もいない。一時は、人気のある建売の振興の住宅地だった。しかし、三十年も過ぎない内に、無人の街となった。かつては、古い墓地があった。それ以前は、古墳だったという伝説があるはずだ。人間が、手をつけてはいけない土地が、あるのだ。また、ここは、私だけの領地になった。

#呟怖 遺族の形見として、朱塗りに螺鈿細工の豪華な三面鏡を、ゆずりうけました。夜中に女性の面の影が、左から右に通り過ぎます。最初は、怖かったのですが、懷かしい気持ちにも、なりました。美しい人でした。その顔立ちに、わたしも似てくるのです。今では、すっかり自分の物になっています。

#呟怖 見なれない子が、校内にいる。セーラー服なのですが、この学校では、昭和に使われていたデザインだそうです。うちの卒業生である先生も、理科室で見たと言っていました。放課後、きもだめしに、行ってみました。だれもいません。人声がします。廊下に出ると、昔の制服の生徒でいっぱいでした。

#呟怖 上野発の夜行列車を下りた時から、ウラジオストク駅は雪の中だった。国境の長い海底トンネルを越えた。乗り換えがない。便利である。夜の底が白くなった。寒気に凍えそうだ。ロシアの赤い星をつけた戦車が、日本へ向かうトンネルへ何台も入っていく。何が起こっているのだろう。銃声が轟いた。

#呟怖 父は床の間に座って「家が重い」とぼやく。庄屋という古い家系の重圧のことかと思った。しかし、そうではないことが、父が死んでから分かった。居間の床柱の中に、父の霊が立っている。そこから、出られない。旧家を支えて苦しんでいる。代々の家の跡取りの宿命だ。私が、次にああなる順番だ。

#呟怖 ああ、君は初めてですね。この地区では、公園の掃除は、夜におこなわれるんです。利用者の、じゃまにならないでしょう。ここにきて、いろいろな感情を捨てていかれる方が、多い。喜びも、怒りも、哀しみも、楽しさなどもある。燃えるのと、そうでないものに分けるのを、忘れないでくださいね。

#呟怖 骨董屋をしていますとね、何を勘違いしたのか、自分の骨を、お持ちになる方が、いるんですよ。いくらでも、いいからとは、おっしゃるのです。が、あまりにも、ありふれているのです。残念ですが、おことわりすることに、しています。あの壁に傾いているのは、自殺した二十歳の女性の腰骨です。

#呟怖 大学時代に高知県の友人がいた。山の上に八十八か所の霊場のひとつである寺があった。白装束のお遍路さんの姿は珍しくなかった。しかし、一年のある一日だけ、お山に登る道を見てはいけないと言われていた。必要がない限り家の外にも出ない。何が通っていったのか。今でも、分からないという。

#呟怖 あの夜から、しばらくたってからのことである。竹林の周りに白い花が咲いた。月光に白く光っている。何かの前兆であろうか。みなが、不安げにつぶやいた。今宵。すべての竹の幹が、黄金の光を発した。ここだけではない。都のすべての竹が、同じ様子だという。そして、鋭い音を発して割れた。

#呟怖 黒鮎の釣り宿は、谷川から湧いてくる灰色の霧の底にあって、玄関も洞窟のように暗かったが、ようやく部屋に通されると、外来種の黒鮎に寄生する虫に食われて、全身に無数の孔が空いた女将が、文字通り三つ指だけを突いて客を迎え、今夜は黒鮎の黒焼きが出ますと、赤い口で笑い心臓を見せた。

#呟怖 その高校へ行くしかなかった。進学する前から悪い評判をきいた。目をつけられた一年生は、体育館の裏手に呼び出される。そんなたぐいだ。駅に近い学校だ。敷地が狭い。体育館の裏は、すぐにコンクリートの壁だ。人ひとり通れない。番長の下手な絵がある。唾を吐いた。「お前が、絵になる番だ」

#呟怖 小学生時代。紙のマスクはない。綿。学校へ行くと、くにゅくにゅと丸める。ポケットにつっこむ。黒く薄汚れてくる。裏返しにする。一週間は、洗わない。洗濯して、再度、使用する。あれは、風邪の細菌を培養して、子どもに免疫をつけるための、一種の「大リーグボール養成ギブス」だった。

#呟怖 俺は長距離トラックの運転手だ。北海道から九州まで行く。が、夜には通らない場所がある。白髪をふり乱したばあさんが、高速道路で、スケート・ボードをしてるんだ。危ないだろ。だから、下の道を走ることにしてる。それにしても、器用でさ。びっくりするぜ。なにしろ下半身しかないんだから。

#呟怖 目覚めると、車内が暗い。乗客が、だれもいない。ドアが開かない。外は闇だ。明かりがない。ここは、どこだ。車両から車両へ。移動する。地獄行きの列車に乗ったのか。先頭車両まで移動した。出してくれ。叫んだ。やがてドアが開く。整備員が顔を出した。酔っぱらって、車庫まで運ばれたのだ。

酒場の話。「お客さん。青いお顔をされているところを見ると、見られたんですね。でも、いいんです。 常連さんだったんですよ。懇意にしてくれましたけどねえ。ある日、交通事故で……。でも、こうして、雨の夜になると、よく来るんです。ええ、あの隅の席。だから、いまでも、予約席なんですよ」#呟怖

酒場の話。「ねえ、親方。おれ、見ちゃったんすよ。あれ、やばいっスよね。二番線の線路のわき。赤ん坊をだいた、女のひとが、立っていましたよね。あれ、今の洋服じゃなかった。キモノでした。 しかも足もとがスケて見えなかったっス。工事つづけて、ヤバくないすか。あれ、アレ、ですよ。ね?」#呟怖

山で道に迷った。ようやく里に出たが、廃村だった。日も暮れている。泊まるしかない。家屋の痛みが激しい。なんとか、雨風をしのげる一軒を見つけた。あがりこんだ。夜更けに目が覚めた。笛と太鼓。祭りの音だ。多くの声がきこえた。「祭りだ。祭りだ」家の前で止まった。 「いけにえが、来たぞ」#呟怖

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