#呟怖
「この巣箱に、カッコーが来るところがもう一度見たいなァ」
なんて話していた大叔父はもう居ない。
変わり者だけど優しかった大叔父に、カッコーが来る所を見せてあげたかった。
でも、大人になってやっと知った真実。

大叔父は、『あの』最悪な精神外科手術の被害者のひとりだった。 https://t.co/tFsZB7Ljuc 2020年10月29日 0:36

#呟怖
友人と夜店の祭り籤を引いた。
自分は『耳』、友人は『目』。
店のオジサンから貰った耳を嵌める。
よかった。この前失くしたばかりだから、欲しかったんだ。
「お前はいいよなー、俺なんて6個目だぜ」
友人は、不貞腐れたように6つの目を細めた。 https://t.co/DfGeA2caqb 2020年10月28日 23:24

#呟怖
白い傘は道しるべ。
暗い雨の夜道を照らすように、私の前に現れる。
全く過保護なんだからと呆れながらも、上がる口角が抑えきれない。

『さっちゃん、おかえり』

雨の日に迎えに来てくれる母は、いつも白い傘をさしていたから。

ただいま、おかあさん。
心の中で、甘えた声を出してみた。 https://t.co/2vNAhkniZr 2020年10月28日 23:17

#呟怖
黒と橙の飾り、南瓜のランタン、魔女の仮装をした妻。
「今年は本格的だな」
「まぁね～」
妻は、真っ赤な唇で笑う。
「ねぇ、ハロウィンって仮装行列するだけの祭りじゃないのよ」

『本トｳはネ、死者ﾉまﾂりﾅノ』

歪む妻の声をかき消す電話の着信音。

「先程、奥様が事故で...！」 https://t.co/ZBhnLMyWOE 2020年10月28日 23:05

#呟怖
「Trick or Treat!」
近所の悪ガキが、にやつきながら菓子をせびりにきた。
仕方なくさっき焼いたお菓子をあげたら「地味だしまずそう。いらねー!」と悪態ついて、踏み潰して去っていった。
次の日、悪ガキは死んだとか。
仕方ない、と私は嗤う。
あれは死者の日の為のお菓子、ソウル・ケーキ。 https://t.co/ZBhnLMyWOE 2020年10月28日 22:54

#呟怖

―――こんな清々しい高い高い秋空に落ちて死ねたら、どんなに気持ちいいだろうか。

秋の晴天になると毎年そう言っていた友人は、高いビルから飛び降りて地べたを這いつくばって死んだ。 https://t.co/cyYBtEnuLx 2020年10月25日 2:27

#呟怖

「みんな、私に向ける笑顔が絵に描いたみたいに同じに見えるの。他の人に向ける時はその人の顔なのに...なんでかしら？」

そう呟くのはとある財閥の御令嬢。

「それは、貴女を傷付けたくないからですよ」

向かいに座る精神科医は、やはり同じ笑顔を彼女に向けていた。 https://t.co/Yr5OVZA6mG 2020年10月25日 2:17

#呟怖
「夢を見るのです。寂れた町に色とりどりの布が掛けられています。仮面の老婆が花を売り、ペストマスクの紳士が水煙草を吹かし、折紙の蝶が舞う...そんな夢を見るのです」
口早に語る女の話を、精神科医は黙って聞いている。
窓の外の町には色とりどりの布が掛けられ、折紙の蝶が舞っていた。 2020年10月25日 1:42

#呟怖
まだ小さな娘を残して妻が死んだ。
幼い娘は死の概念が薄いのか、母親が居なくても笑顔で遊んでいる。
ある日、娘は宙に向かって話しかけながらお絵描きをしていた。
「誰とお話しして、何を描いているの？」
娘に話しかけると、笑顔が返ってくる。
「まま！」
画用紙には化物が描かれていた。 https://t.co/UsWYXbJPGd 2020年10月20日 0:24

#呟怖
#一行怪談

夜中に隣人がボンボン音出して、なんか叫んでてうるさいなーと思って壁に耳を当てて聞いてみたら木魚？かなんか叩きながら般若心経唱えてたから、この部屋引っ越したい。 2020年10月20日 0:23

#呟怖
#一行怪談

私、すっごい汚部屋に住んでるんだけど夜中にガサゴソ音がするからゴキブリかと思ってスマホのライトを音のする方に当てたら、人の手首だけがそこに居て、すごい速さで壁際まで這って行って消えたからマジでビビったよね。 2020年10月20日 0:15

#呟怖
友人は鍋料理と肉が大嫌いだ。

「昔さ、金のない奴らで集まって闇鍋したんだよ。仲間の内の一人がデッケェ肉の塊持ってきてて、みんな大喜びで美味ぇ美味ぇって食ったんだよな。―――その三日後だよ。肉持ってきた奴、母親殺しで逮捕されたの」 https://t.co/YOlCcFS6fZ 2020年10月19日 23:35

#呟怖
出る、と噂の古いトンネルを通ったら肩凝りが治ったのはよかったけど、通り抜けた瞬間に聞こえた複数の「ﾏｯﾃｪ...」「ｵｲﾃｲｶﾅｲﾃﾞ...」って声はなんだったんだろう？
あとそのトンネル、ますます『出る』と評判になってる。 2020年10月19日 22:06

#呟怖
#一行怪談

地球全土を襲った疫病からただ一人逃れた男が味わうのは生き延びた勝利の美酒ではなく、死ぬまでの永い孤独である。 https://t.co/ZKriuVhLdP 2020年10月18日 2:10

#呟怖
#一行怪談

いつもにこにこ優しい校長先生、僕たちが講堂の裏にある使われてない倉庫に近付くだけで、鬼みたいな形相になるのは何でだろう。 https://t.co/wJK0NnzvCS 2020年10月18日 1:47

#呟怖
#一行怪談
電車で隣に座った女子高生が、スマホを見ながら忍び笑いをしていたので思わずチラリと隣を見ると、メール画面が開いていて『お父さん、死んだよ』の一文が見えた。 https://t.co/wgEN1qz7Gm 2020年10月8日 13:07

#呟怖

嫁と喧嘩した次の日、花束を買って謝った。
「いいよ」と笑う嫁に安心する。

その日の深夜、リビングで嫁が花占いをしていた。
「夫をコロす、コロさない、コロす...」
静かに引き返した。
翌朝、嫁は笑顔で俺の好物を朝食に出してきた。
占いの結果はどうなったんだろう？
この飯、大丈夫か？ https://t.co/wgEN1qz7Gm 2020年10月6日 1:25

#呟怖
#ことば公園

ゆっくりゆっくり、緑化運動の声を上げる者たちの手によって地球はジャングルと化しつつある。
声を上げた者たちの多くがなんとなく、獣のような体臭がするのは気のせいだろうか。 https://t.co/MjARRdrDMF 2020年9月16日 22:56

#呟怖

大型台風の来た日、隣のおっちゃんが増水した用水路に落ちて亡くなった。
おばちゃんが言うには台風が最接近した時間帯にふらりと立ち上がり、
「田んぼが心配だから見てくる」と言って、どれだけ止めても外に出ていってしまったらしい。
でもおかしいね。
おっちゃん、田んぼ持ってないよね？ https://t.co/KS46ZQQSRB 2020年9月16日 22:46