呟怖は、Twitterでハッシュタグ『#呟怖』をつけてツイートすれば誰でも参加、投稿できる140文字以内の創作・実話の怖い話です。呟怖.ORGには、日々投稿される呟怖から転載または朗読やイラストなど二次利用を許可されたものが集まっています。作品の二次利用に関する約束は掲載作品の転載、二次利用についてをご覧ください。自分の呟怖作品も、他の掲載作品同様に読んでいいよ・描いていいよという方は、ぜひ参加ボタンから呟怖作家としてご参加ください。その他ご不明なことはガイドをご覧ください。
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呟怖.ORGと参加について 物置から「ねえ、助けて、出して」という声がする。母さんに話したら「あれは悪い者だから、聞こえないふりをしなさい」ときつく言われた。
父さんがしょんぼりと、物置を見ている。ねえ、女の人の声だったよ。母さん、どうして怒っているの？ #呟怖
履歴書でばば抜きごっこをしていた人事部の社員が、引き出しに押し込まれたまま出られない。新人が使う羽目になったけれど、
邪魔でしょうがないとぼやいている。許してえ、許してえ、悲痛な声はしらんふり。 #呟怖
終電ならもう、とっくに出て行ったはず。あの電車はなあに、ほろ酔い加減で彼女が問う。優しくしてくれたばあちゃんや、おっかないけど
いろんな宝物を見せてくれたじいちゃんが、座席に腰掛け手を振っている。決して、手招きはしない。してくれない。 #呟怖
ままちゃんがいる、ままちゃんだよ。排水溝をみつめて娘が言う。離縁した妻はもう既に、鬼籍に入ったと聞いた。
不貞の相手に首を絞められ、山へ棄てられて。ままちゃん。ままちゃん。娘のうしろから覗くと、充血した眼が覗いている。 #呟怖
浮かれてながすは嘘涙
悲しくながすは血の涙
見上げる月は紅くなり
白波はひとり袖を濡らす
紅く染まる衣に誘われ
行くあてなき蚊が謡ひだす
#呟怖
おなじものになりたくないわ
あたしはちがうの
病院の壁に刻まれた
小さな落書き
嗤う少女と
這う子供
見えているからおかしいのか
おかしいから見えているのか
せんせい
おしえて
#呟怖
いらっしゃいませ、いらっしゃいませ。ありがとうございました。ありがとうございました。閉店後のデパートで聞こえる女性店員の声。誰かいますか、と訊いてはいけないらしい。いなくなった人たちが、買い物に来るそうだ。 #呟怖
先月は口紅、こないだは制汗剤のスプレー、昨日はコンシーラー。借りパクばかりしているクラスメイトが、体調不良で休んでいる。ねえ、やりすぎだよ。付喪神に頼んでこらしめるなんてさ。誰かがひそひそ話していた。 #呟怖
わらわら、わさわさ。唐子たちが足下にまとわりついて、「飴ちょうだい、お菓子ちょうだい」と呼びかける。百円ショップの隅に隠れて、じっと観察していたようだ。あげるから、家にはこないでね。猫たちが嫌がるの。 #呟怖
ねえ、かしてよ。かならずかえすから。寝返りをうったとき、おばさんと目が合った。お母さんから借りて、まだかえしていないでしょう。お父さんから借りて、まだかえしていないでしょう。親戚なんだから、けちねえ。おばさん、いまどこにいるの？かえすあてはあるの？ #呟怖
ママ、ママ、助けてえ。あの子が追いかけてくるの、あたしが意地悪してきたことを、怒って追いかけてくるの。ママ、ママ、助けてえ。5号室で入院しているおばあちゃん、ベッドのまわりが泥だらけ。いやあねえ、またなの？ #呟怖
起床すると、二の腕に無数の小さい矢が刺さっている。ああ、昨日はお局さんが不機嫌で、八つ当たりと嫌味がひどかった。しょうがない、と矢を引き抜いて消毒して出勤した。お局さんは身体が見えないぐらい、矢を刺している。ぷすり、ぷすりと自分で刺している。いったい何本あるかしら。 #呟怖
花屋に寄り、玄関に飾る花束を買おうと思った。駅前、デパート、帰り道、軒並み臨時休業の札が下がっている。妙なもんだと思って帰宅すると、娘が「ねえ、お庭に咲いてるよ」と言う。鬼籍に入った祖母が育てていた、月下美人が咲いていた。なるほど、と私は納得した。 #呟怖
逆恨みなんかしちゃいけないよ。通学途中、やけに背が高い、真っ黒なコートを着た男に声をかけられた。不幸を願っても、幸せは来ない。おじさんみたいな奴が来るだけさ。自虐的に言うと、男は姿を消した。私は教室で、同級生に謝った。理由は向こうも分かっていた。男が背後で嗤う。 #呟怖
おばあちゃん、井戸からそっと出てくるの。昔の遊びとか、歌とか色々教えてくれるの。だからひとりでも、寂しくなかったよ。父が倒れた夜、留守番させた娘から聞いた報告に、私は井戸を潰すかどうか悩んでいる。父の賭博と酒癖に疲れ、井戸に身投げした母が、まだそこにいるらしい。 #呟怖
姉さんが、屏風の向こうから覗くんです。先を越すなんて、妹のくせにずるいって、部屋にこもって悪口ばかり言っていました。相手にしないもんだから、結納の夜、首をくくって死んでましたよ。出て行けなんて言いません、見せつけていますよ。姉さんが知らない、気持ちいいこと。 #呟怖
伸びちゃったよ、ねえ、僕のラーメン伸びちゃったよ。かわいそうにねえ、また食べられないまま、捨てられるんだよ。課長もさ、定時間際に引き留めちゃだめだよぉ。枕元に、リストラされた父が言う。 #呟怖
ホチキスの向きが違うからって、30分も説教するなんてね。Jさんって自分を棚にあげて、嫌になっちゃう。トイレが長いとか時間も計って、エクセルで管理して、気持ち悪い。そうだよねえ。ひとりじゃなにもできないくせに。目をつけられた後輩が、壁のシミと会話している。甲高い声は誰？ #呟怖
倉庫裏にあるお地蔵さんが倒れていたらしく、学校でちょっとした騒ぎになった。誰がやったかは名乗らなかったけれど、動画サイトに同じクラスの男子が、お地蔵さんに、蹴りを入れたり小便かけたりしているところを投稿していた。あいつ、入院したらしいよ。石になったんだって！どこが？ #呟怖
ひとりぼっちで留守番していると、あの子は必ず来てくれた。赤いワンピースを着て、遊ぼうって、子ども部屋にやってきた。パパとママには黙っていた。いつも喧嘩ばかりして、僕がいなければいいって言う。あの子につれてってと頼んだら、今度ねと言われた。日曜日、パパとママとお別れした。 #呟怖
廃墟が好きなS君は、みんなからいじめられている。今日は体操着が、牛乳と残飯にまみれていた。机には、絵の具が塗られていた。ぞうきんで拭くのを手伝うと、「今までありがとう」と言ってくれた。翌日、S君は来なかった。廃墟にもいなかった。いじめた奴らの首がごろごろ、転がっていた。 #呟怖
雨が降ると、お兄さんが、ママに会いに来るの。押し入れから「やあ」って、会いに来るの。ママは、お兄さんに会うときはいつも、嬉しそうなんだ。パパ、どうして押し入れを片付けているの？お兄さんが逃げちゃうよ。パパ、ママが泣いているよ。やめてよ、パパ。やめてよ。 #呟怖
よいしょ、よいしょ。おばあちゃんは、近所にあるおいなりさんの草取りや、掃除を毎日している。私もたまに手伝う。きれいにすると、御利益があるよと、おばあちゃんはいつも言う。最近、ママは具合が悪くて寝てばかり。私のこと、あんなに怒鳴ったり、叩いたりしていたのに。どうして？ #呟怖
無断転載した画像で、もらった「いいね」に追いかけられる夢を見た。親指の爪が鋭く伸びていて、腕や足に、ひっかき傷がたくさんついた。目をさますと、ミミズ腫れができている。炎上したからアカウントも消して、全部リセットしたのに。いいねがだんだん、痛いねになっていく。 #呟怖
非常階段をかん、かんと急いで昇る足音が聞こえる。何かあったのかしら、と立って見に行こうとする彼女を「気にしなくて良いよ」と制する。あれは、毎晩聞こえるやつだから。男に騙されて、飛び降りた女がずっと、繰り返しているんだよ。かわいそうにね。彼女がふと、口元に笑みを浮かべる。 #呟怖
残業していると、がたがた、ごとごと、机が揺れている。数えると五台あった。気味が悪いので、すぐに帰った。翌日辞令が貼り出された。納得できない、と騒ぐ声がする。ざまあみろ、と言う声もする。あんたたちには、机までうんざりしていたのかな。 #呟怖
●●さんには挨拶しなくていいんだよ、あいつ今みんなで無視しているから。理由なんかないわよ、なんとなくむかついただけ。だからちゃんと守ってね、ねえ聞いてるの？あたしに逆らったら大変なんだから。交通事故で亡くなった、意地悪な先輩が、血だらけの顔で言いふらす。#呟怖
使えねえやつだと、鼻で笑われ同期が落ち込み、うつむいている。言い返さず黙る相手とわかった上で、先輩が暴言を吐く。俺にはパワハラなんて、関係ねえんだよ。にやにやしていた先輩が、わっと黒い影に飲まれた。同期が、口を開けて、先輩が……あの、あの……。
#呟怖
菫が咲いているから、お前、ちょっと行ってとってきておくれ。かあさまに言われた通り、ぼくは川辺に来ただけなのに、こっそりあとをつけてきて、突き落としたはかあさまでしょう。時々いらっしゃるとうさまが、不機嫌になるからでしょう。
かあさま、どうかまって。一緒に帰りましょう。 #呟怖
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