呟怖.ORG | 呟怖

呟怖は、Twitterでハッシュタグ『#呟怖』をつけてツイートすれば誰でも参加、投稿できる140文字以内の創作・実話の怖い話です。呟怖.ORGには、日々投稿される呟怖から転載または朗読やイラストなど二次利用を許可されたものが集まっています。作品の二次利用に関する約束は掲載作品の転載、二次利用についてをご覧ください。自分の呟怖作品も、他の掲載作品同様に読んでいいよ・描いていいよという方は、ぜひ参加ボタンから呟怖作家としてご参加ください。その他ご不明なことはガイドをご覧ください。

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呟怖.ORGと参加について

全てが停止した世界で、歩道の無い道の真ん中で私は立ち尽くしている。己が何者か分からない。ふと視線を落とすと、片方だけの靴があった。その先には片方だけの手袋。そして煩雑に折れ曲がった自転車。車体に指先で触れてみる。唐突に動き出した世界で見たものは、変わり果てた己の亡骸だった。
#呟怖

消灯直前の病棟の廊下で、缶珈琲を飲んで居ると、豪華な花束を携えた見舞客と思しき中年の男性が病室へ向かうのを見た。「病室へ生花は衛生上の理由で持ち込めません」と声を掛けようとした私を、付き添いの看護師が首を横に振り制止する。男は病室の扉を開ける事無く花の香りだけを残し消えた。
#呟怖

#夏・熱・暑・蒸・茹を使わず猛暑を文学的に表現してみろ #呟怖

シャベルで這い出す蝉を潰して
君の為に深くて涼しい穴を掘るよ
午前2時でも32℃もあるから
顎先へ伝う汗に月光が映る

食欲無いでしょ
もう食べなくていいんだ
鼈甲色の縄で蛹になった君が
羽を生やすまで
槐樹の木陰で眠ろう

「此処は何処だ」
後頭部の鈍痛と痛む程に刺す日射し、皮膚が焼け爛れる感覚で薄目を開けた。炎天下の砕石の上で野晒しにされている。引き攣れる腕を動かし、頭頂の皿を確認する。
「嗚呼…皿までも…」
干上がりひび割れた皿が、割られた頭蓋骨の様に水掻きに落ち、河童は甲羅の下で落命した。
#呟怖 https://twitter.com/kaleidoscopeka6/status/1022324462283182080 

夜光虫の海が仄青く光る。今年も彼女が好きだったカサブランカを海に手向けると、派手な花柄のシャツで彼女が海から来る。幽霊になっても、お仕着せを嫌う彼女らしい姿だ。二人手を繋ぎ夜光虫を蹴散らして歩く。夜の浜辺で、彼女がくれた白いワンピースを靡かせる私の方がよほど夏の亡霊らしい。
#呟怖 https://twitter.com/tomomoya70/status/1021371262105411585 

故郷への列車に乗り、延々と広がる水田が流れる車窓を眺めていた。駅で停車した時、古いブリキ製らしい蛙のお面を着けた案山子を目にした。再び列車が走り出し次の駅でも、同じ蛙の案山子を目にする。次もその次の駅でも。目的地に着き、その案山子の横を通ると「お帰り」とにちゃり笑った。 #呟怖

蝉時雨の中、扇子を整理していた。何気無く開いた一面に鮎が跳ねる。夭折した妻の手による扇絵だ。清流に架かる楓が、涼風を呼ぶ。静かに扇ぐと、私の手に若鮎の様な妻の手が重なって見えた。思えば優しい女だった。老境に入っても、独り身の私を気遣うのだ。妻の香りがそよぐ。この夏もお前と…
#呟怖

川縁に建つ祖母の家に遊びに行き、縁側で西瓜を食べていた時の事です。庭先の畑に植わっていた胡瓜から視線を感じました。もしや狸が化けてでも居るのかと水をかけると、胡瓜に付いた丸い一つ眼が瞬きをします。気味悪く思っていると、川から河童が来てその胡瓜を食べて逃げて行きました。
#呟怖 https://twitter.com/tsubukowa/status/1018741134573441024 

パートナーと食の好みが似てきた。同棲していた頃、夕食の献立でよく喧嘩をした事を懐かしく思い出す。似てきたと言うよりも寧ろ、彼の好物が無性に食べたくなるのだ。僕は特に好きでは無かった筈なのに。それは遺族に分骨して貰った遺骨を僕は食べてからだ。彼が僕の中に馴染んだからなのかな。
#呟怖 https://twitter.com/tsubukowa/status/1001862409575780352 

指輪を洗面台の排水口に落としてしまった。半泣きで排水口を覗いていると、しわしわの指が指輪を嵌めて這い上って来た。驚いて尻餅をついた私に、祖母の声が聞こえた。相変わらずお前はそそっかしい…と。ビビりながらも礼を言うと、暑いからあずきバー食いたいとお供え物のリクエストを承った。
#呟怖 https://twitter.com/Manjusaka0622/status/1017311964781948930 

隙間に手を入れる癖のある人が居る。ある日バスの座面と背もたれの隙間に手を入れて安らいで居ると、指先を猫の肉球の両手に掴まれ和んで居たが、下車する停留所で降りた。次の日はザラザラの舌で舐められ、また次の日は伸びた爪を齧り取られ、少し怖くなり隙間にまたたびを捩じ込み供養した。
#呟怖

油の如き熱帯夜に、立ち枯れた向日葵の葬列は項垂れ暗鬱に立ちつくす。功名を求め敗れ打ち捨てられた兵が土へと還り、朽ちた怨嗟を思う様吸い上げ咲きまた枯れる。無慈悲な太陽が去ると無念の呻きや敵意を含む声が漏れ、ざわめきが幾重にも重なり風も無く身を震わす。私は夜中の向日葵が怖い。
#呟怖

向日葵の原へ誘う烏揚羽。今年も虫取り網を杖にして、私はそれを追う。年々足取りは覚束無くなるが、道が見えなくなる付近で彼はあの頃の姿のまま待って居てくれるのだ。日に焼け憮然とした顔で、男なら勝ち虫を追えと鬼ヤンマを差し出す。黄と黒に渦巻く陽炎。そして今年も彼は私を残すのだ。
#呟怖 https://twitter.com/pakiene/status/1016665528134348801 

亭主を亡くしたお梅は、反魂香を譲り受け早速くべると子供を抱いた亭主の姿が顕れた。
「お前さん、何なんだいそのガキは」
「三年前ぇお前ぇが流した坊だよ、よく見ろぃ」
泣き出す子供。
「…そうかい飴でも買ってやっとくれよ」
「幽霊だけにお足がねぇ…だから」
亭主はお梅の眼を一つ取った
#呟怖

奇妙な夢を見た。黒い川岸に鬼灯が叢生し、そこには番いの蛇がいる。蛇は仄暗い川を流れて来た遺骸を丸呑みにすると、注連縄の様に絡み合い艶めかしく鱗を光らせ夜通し交わった。夜が明けると朱く熟れた鬼灯の実の様な卵を産み落とし、その実は踠く様に川を下って行った。翌朝、妻の妊娠を知った
#呟怖

二ヶ月前から行方不明だった兄が帰って来た。但し膝から下だけで。一週間前に玄関に佇んでいた膝から下を兄の足だと気付けたのは、脹ら脛に鳥獣戯画のタトゥーがあり、我が家の愛猫忠吾に頭突きされよろめく軟弱さを披露したからだ。そして今、忠吾の腹を踏むフリをし齧られる妙な日常が戻った。#呟怖 https://twitter.com/9qOtyj1fg7veVuc/status/1014495350151757825 

時の沼が音も無く波も無く横たわる。
耳鳴りがする程の静寂の中、漆黒に踏み入れ深淵を目指す。底も終わりもその先も無い。
輪廻も進化も天地も生も死も、あらゆる全てが無い世界
無へ
脈々と続いた縁も因縁も解いて落として。
#呟怖 https://twitter.com/magma_maniac/status/1015404025322172417 

幼女は男に陵辱され絶命する寸前に長い女を見た。顔は見上げても見えない。幼女が事切れた刹那、男の背後からその女は音も無く近付き、男の黒く歪んだ欲望の詰まる頭蓋を手刀で割り開き、溢れる脳に寄生していた鬼を取り出すと美味そうに呑み笑う。そして幽体となった幼女の手を引き闇へと消えた
#呟怖 https://twitter.com/zakuroonna/status/1014872531055112194 

去年看取った夫の結婚指輪と、入れ歯にして使用していた金歯を溶かして指輪を作って貰った。自分の指輪と並べて、薬指へと付けてみる。あの人の温もりが残っている気がして、寂しさが和らいだ。不思議な事に、月命日になるとその指輪が私の指を甘噛みする。それは夫の生前からの癖だった。
#呟怖

事故に遭い頭の打ち所が悪かったらしい。目を覚ますと、足跡が見える様になっていた。驚いたが若い看護師さんの足跡が、綺麗な空色をしていて少し和んだ。だが不可解な足跡もある。天井や壁、果ては窓の硝子を歩く黒や錆色の物だ。多分人ならざる者なのだろう。その爪先が今、私に向かって来― #呟怖

#あいうえお作文見た人もする #呟怖

あの角に
居る影法師
呻く声
怨嗟の集い
戦き足止め

ツンデレな君の心の裏側が、僕には見えているんだ。
長い付き合いじゃない。当たり前だよ。
サトリ?テレパス?そんな風に思うのかい?
ほら、鏡に手を添えてごらん。あたたかいでしょ?
君の本当の姿も心も、僕もいつも鏡の裏に在るんだ。

-おはよう、今日も愛しているよ…僕-
#呟怖 https://twitter.com/tsubukowa/status/1013676240845168640 

「これは…あげない」
少女が大切そうに抱えるしゃれこうべ。鞠突きでもするのかと見詰めていると、切り取られた頭頂骨を開き中から白い菓子を取り出して頬張った。そして蓋だったそれを仰向けると、内側が丹赤に塗られた杯となり、みるみる透明な液体が満たす。
「それはお酒?」
「違う、涙」
#呟怖 https://twitter.com/alythcrow/status/1013349247951880192 

その川の水底には人魚の少年が棲んで居る。海から遡上した訳は、無二の親友たる竜神の少年が水源の滝に居るからだ。昨夜も竜神への生贄である少女の腕を、仲睦まじく分け合い、満腹になると人魚の少年が集めた白骨で独楽を作り遊んだ。だがそれは二人だけの秘密。川岸で覗き見た花も朝には枯れた
#呟怖 https://twitter.com/knk_shirogane/status/1012929879103320064 

庭の白柘榴の葉に蝸牛を見付けた。それは精緻に彫られた透明度の高い蛋白石の様で、緩慢に動く度に体内を遊色が揺らめき私を恍惚とさせるに充分だった。思わず手に取り甲へ這わすと、熱と共に魂をも舐め取られる様な快楽の後に僅かな痛みが走る。と同時に脳内に声が響いた。「我が子を頼む」と。
#呟怖

「母様…私に求婚する人間を悉く召し上がるのは、もうおよしになって」
愛娘の諭す様な言葉に、母親は絆の鎖を地に下ろして項垂れる。
「でも、あなたに相応しい人間では無かったから」
娘はポケットに入れた父親の形見を握り言う
「父様みたいな人間を見つけますから」
静かに母親は目を細めた
#呟怖 https://twitter.com/magma_maniac/status/1012704194162188290 

卯の花くだしの中、湖面に一艘の舟の影が揺れている。その舟を漕ぐ船頭に蛍が群がる。蛍?番傘を叩く雨音が胸をざわめかせる。船頭が踠く様に身体を捩る度舟が暴れる。蓑火だ。細やか蛍の光りの様だったそれはやがて身を焼く焔となり、船頭は池へと不快な音を立てて沈んだ。舟に女の骸を残して。#呟怖

衆合地獄に、楓と紅葉という姉妹の獄卒が居ました。日々延々と亡者の口に熔けた銅を流し続けて居ます。
「飽きた」
「私も」
「いっそ多苦悩処で男色の亡者を眺めてたい」
「相変わらず好きね」
「セクハラはされないよ」
好色な亡者の視線に辟易しながらも、呵責を続ける獄卒もまた地獄也。
#呟怖 https://twitter.com/magma_maniac/status/1011968549584138241 

「わたし、貴方と一緒に旅がしたいわ」
病床で妻はそう言った。私は彼女の望みに応え、遺骨と共に各地を巡る。初夏に差し掛かる頃、柔らかな柳絮がふわりと頬を擽る。私は妻を腰掛に下ろし、その情景を見せた。
「ご覧、雪の様だね」
答える代わりに妻は擽ったそうに、カラカラ骨を揺らし笑った #呟怖 https://twitter.com/amabie100/status/1011881484553076736 

白浪に濡れた着流し赤黒く
取り落とす鎌 さわぐ松風
#怪談短歌 #呟怖

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