呟怖.ORG | 呟怖

呟怖は、Twitterでハッシュタグ『#呟怖』をつけてツイートすれば誰でも参加、投稿できる140文字以内の創作・実話の怖い話です。呟怖.ORGには、日々投稿される呟怖から転載または朗読やイラストなど二次利用を許可されたものが集まっています。作品の二次利用に関する約束は掲載作品の転載、二次利用についてをご覧ください。自分の呟怖作品も、他の掲載作品同様に読んでいいよ・描いていいよという方は、ぜひ参加ボタンから呟怖作家としてご参加ください。その他ご不明なことはガイドをご覧ください。

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友人と話した時、ふと「昔、一緒に河童を見たよな」と言ってくる。子供の頃のことだ。夕方、家路につく俺達の前に河童が現れた。橋の上から緑色の肌と甲羅のような膨らんだ背、皿のような頭頂が薄暗い中に流れていくのが見えた。
彼が信じるならそれは河童だろう、俺が見たのは水死体だったが。#呟怖

昔の話。父母を亡くした私を引き取った伯父は酒癖が悪く、逃げ場のない私はいつも痣だらけだった。
あの日、階段を降りる伯父の背中を強く押した。覚えているのは赤い水溜りと動かない体、痛い頬、むせ返るような甘い香り。
ただ、金木犀の季節が来る度に記憶の伯父は蘇り、幼い私を殴るのだ。#呟怖

家の前は昔から事故が多く、私はそこの掃除や献花を担っている。日当たりの問題か水はすぐ腐り、花は枯れてしまうのだ。
ある時、白い手が何かを探すような動きをしていた。恐ろしさも忘れ持っていた花を差し出すと握り潰され、叩きつけられた。
彼らは安らぎではなく道連れが欲しかったのだ。#呟怖

自己啓発にのめり込んだ彼女。途端前向きな性格になり、地味な見た目も垢抜けて自慢の黒髪は明るいショートに。生真面目な彼女が無理をしないか心配する矢先、手作りマフラーを渡してきて「髪の毛は細くて編むのが大変だった」と無邪気に笑う。
黒いそれを見て、俺は彼女が壊れたことを悟った。#呟怖

水神で有名な神社に行った時のこと。その日は雨も降っていて苔むした境内と雨音が心地よかった。水神の寝床という古井戸を覗くと真っ白な大蛇が緩やかなとぐろを巻いていた。神様を見たことへの驚嘆、興奮、畏怖、そのどれよりも先に浮かんだことがあった。
ここの神様、蛙じゃなかったっけ。#呟怖

友人が飛蚊症にかかったらしい。視界の端に映る影が鬱陶しいようで話していても急に視線を逸らしたりする。
「目の中の塵だっけ、気になって目で追っても逃げるだけだし、眼科いったら」
「いや、そいつと目が合いそうでよけてんだよ」

……そいつってなに。

#呟怖

「私が人間じゃないって言ったらどうする?」彼女の口癖だった。
首を絞めた時すら笑ってそう聞いてきた彼女が、本当に人間なのかただ確かめたかった。事切れたのち彼女は目を開けたまま蛸のようにグニャグニャとなって通気口へ消えた。俺は心底嬉しかった、彼女が本当に人間でなかったことが。#呟怖

台風が来ているらしい。低音から高音へ、悲鳴のようにうねった風の音と叩きつけるような雨が代わる代わる窓へぶつかる。この、もみくちゃにされる感じは嫌いじゃないが、一昨年は硝子が割れてえらい目に遭った。
雨戸を閉めるためカーテンを開けると、悲鳴をあげた知らない女がぶつかっていた。#呟怖

今朝方とても恐ろしい夢を見た。
落ちるような感覚と共に目覚め、直後に激しい動悸、汗も出ていた。
女が、猫が、隙間が、目が。
あれだけ恐ろしかったはずなのにもう夢は思い出せない。
私は一体何を見ていたのか、思い出せない。
それだけのことがただただ、恐ろしい。#呟怖

授業の一環で発掘調査に加わった。王家の谷やナウマンゾウの牙然り、もしかしたらの歴史的な発見を期待し、若い私は心躍らせていた。明らかに土や石を省いたものの中に形の変わったものがあり急いで先生に確認してもらった。「これは違いますね、新しすぎます」当時は落胆したが、今は少し怖い。#呟怖

深夜のコンビニでバイト中の後輩に怖いことがないか聞いてみた。後輩が口を開きかけたその時、一人の客と来店チャイムが鳴った、五回。客はぐるりと店を一周して何も買わずに出ていった。「あれはマズイっすよ、よくないですよ」震えながら床を見つめる、店内に鳴ったチャイムは一回だけだった。#呟怖

紅茶染からはじまって色々なもので染めた。最近手に入れたお気に入りの染料は藍と同じく日に当てて乾燥させると定着するという。今は茜よりも鮮やかな色だけど干したら色が深くなり、最後の水洗いをするともう少し軽い色になる。重ねて調整、独特の鉄臭さに慣れる頃には血染めの赤の出来上がり。#呟怖

馬鹿兄貴の形見の中にマネキンがあった。嫌がらせか何かか俺宛の遺言まで添えて。曰く、捨てると呪うらしい。インテリアと割り切って椅子に座らせると翌日俺の服を着ていた。ご丁寧に服に合わせた靴まで履いて。その翌日も、その翌日も。
お洒落かよ。馬鹿兄貴のセンスに俺は泣きながら笑った。#呟怖

誰かに見られてる、と前から漏らしていた同僚がとうとう失踪したらしい。彼女の机を片付けていると圧のような視線を感じる。不思議に思い引き出しを開ける。目があった。足元を覗き込む。目があった。
PC周りの付箋を剥がす。私がしたのはこれだけなのにな。二枚重ねの下の付箋と目があった。#呟怖

うちには猫が五匹いる。
昨晩うちの子に混じって見た事のない柄の脚が見えた。その脚は他の子たちより透明がかり、少し後ろから遠慮がちにこちらを伺っている。今日は缶詰だから食べに来たのかな。器を増やし「これはお前の分だから、ゆっくりおあがり」と置いといた。
今朝、脚が増えていた。#呟怖

名所と呼ばれる岬の先にメモと海を向くスマホがあった。メモには飛び降りるまでを撮影したこと、有名になりたかったこと、見つけた人はその動画を持ち主のツイッターに投下して欲しい旨が書いてあった。俺はスマホとメモを捨てるとその動画を自分のツイッターに投稿した。いいネタをありがとう。#呟怖

この家はおかしい。トイレが気になって一日に何度も確認してしまう。そのたび何もないことに安堵を覚えるが、すぐまた気になり扉を開ける。とうとう先日は「なんで何もいないんだ」と怒りがわいた。この家はおかしい。こんなに気になるのになんで何もいないんだ。いるはずだ、なんでいないんだ。#呟怖

昔から母は料理が下手だった。ハンバーグもカレーも焦げ臭くて苦い上、時々作るおはぎも同様だった。
ここ最近物忘れや同じ問を繰り返すことが増え、先日警察から保護の連絡があった。迎えに行くと爪一杯に墓地の泥を詰め「もうすぐおとうさんになる」と笑い、家には作りかけのおはぎがあった。#呟怖

体験学習で田植えをしたことがある。重たい泥が指の隙間から逃げるのが楽しくて大はしゃぎだった。収穫されたもち米は赤飯にするって話だったのに直前で中止になったのを覚えている。
先生は何も言わなかったがその後田んぼの持ち主は逮捕され、奥さんは稲穂の下から見つかったらしい。#呟怖

涼を求めて降霊術をやってみた。室温は下がったが初老の男が部屋を闊歩するのは視覚的によくないのでお帰りいただくことにする。部屋の四方に盛り塩してみたら日に日に怒った顔になる。友人に相談すると「閉じ込めてんぞ、それ」合点がいったので生米と酒を撒いたら怖い顔で消えてった。あつい。#呟怖

長い髪はもうこりごり。電車のドアに挟まれて痛い目を見たし、振り向きざまに髪の束をぶつけてしまったこともある。特に手入れに気を遣うことが多く、毛先が傷んだりするのでトリートメントも入念に。先日など髪を垂らして洗っていたら隙間から目が合った。ショートはいい、目が合わないもの。#呟怖

近所の神社に提灯が灯る。賑やかな声の中、少ない小遣いで物色していると屋台の隙間に祖母を見かけた。歩きざまの一瞬だけだが特徴的な着物で見間違えようのない祖母は、後ろ向きで逆さまだった。そのまま帰宅するも祖母は戻らなかった。
彼女は祭りに喰われたのだろう、今でもそう思っている。#呟怖

親とケンカして夜中に飛び出した。こんな時に泊めてくれるような友達もいなければ金もない。あてどなく歩いていると真っ暗な公園のブランコがひとりでに揺れているのに気がついた。「おまえもひとりか」返事の代わりにキィと鳴ってブランコが止まる。瞼が熱い。ひとりぼっちなのは俺だけだった。#呟怖

前住人が訳ありの居抜きで格安だった我が家。幸い家屋の傷みも少なく、ちょっと荒れてはいたがこぢんまりとした庭もいい。日曜、「花壇が欲しい」と妻が言うので庭の一角にレンガを使った簡易なものを作ってやる。クワを入れると髪が絡んで大変だった。肥料はいらない。きっと綺麗な花が咲く。#呟怖

朝起きると右腕が痛かった。日常生活には支障ないがふとした瞬間気になってしまう。よくよく調べるが素人目には昨日となんら変わりがないように思えるし、人に聞いても何もないという。
病院で一度診てもらおう、そう決めた時、思い出す。

そうだ、先月事故で無くしたんだった。#呟怖

その日は知り合いの船に乗り、暗いうちから釣っていた。ふと大した餌でもないのに鈍くて大物の手応え、タモ網で待ってると昏い水面一杯に海藻が…その瞬間血相変えた船長がラインを切った。海藻の塊はしばらく水面にいたものの、やがてゆらゆらとまた沈んでいった。
それから釣りはしていない。#呟怖

長く付き合っていた彼と別れた。暴力も酒癖もギャンブルもなく、私をいつも大切にしてくれるひとだった。将来のことも話したし、ご両親もとても優しくて私も彼を大切に思っていた。
ただ、笑いながら虫を潰す彼だけは、どうしても耐えられなかった。#呟怖

職場では大抵のものは直せた。分解、清掃、潤滑が大切なものだと経験談から身に染みている。まず分解、汚れている部分の清掃、動かないところに潤滑油。もちろん直らない時もあるが普段限られた人しか知りえない部分を垣間見れるのは楽しい。
今回壊れた部下は直せなかった。私は満足している。#呟怖

一人暮らしの曾祖母が亡くなり、遺品整理で田舎へ行った時の事。子供だった私は手伝いで納戸の中の箱を開けていた。虫に食われて中身の出たお手玉は貧しかったためか、小豆ではなくそば殻や黄ばんだ小さなプラスチック片で出来ていた。
先日母に話した時の『爪よ』と言った顔が忘れられない。#呟怖

あぜ道で誰かが捨てた案山子を見つけた。作る手間が省けて大助かりだ、鳥よけにトマト畑へ設置する。それから1週間ほどで溶けはじめ、骨だけになった案山子を捨てると丸々と太ったトマトが食べ頃となる。今年のトマトはうまそうだ。また案山子がほしくなる。 #呟怖

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