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「空と踊る男の #呟怖 〈竹田と俺〉シリーズ」をトゥギャりました。 https://t.co/JlFzRHFHP3

「現実世界と内面世界との間に軋轢や齟齬が生じた時、君がその軋轢や齟齬を修復しようとすればするほど、逆説的にそれらはより深まり拡大してゆく」
この台詞は。この話し方は。
「全てを受け入れる覚悟はできましたか?」
違う。竹田は。
「病室の壁に、自分が殺した少女の絵を描きましたね?」
#呟怖

「物語による自己療養の行為は、却って人の精神を破壊することがあります。無意識の混沌が紡ぐ物語は優しく慰撫的なものとは限らないからです。時にそれは心の奥底に眠る暗く歪な何かを呼び起こす。でも君はそれを試みた。非公式ながら私も見守った」

先生の言葉が次々と意識の上を滑ってゆく。
#呟怖

予想通り、室内には八堂先生がいた。白衣を着ている。
「やあ。座りなさい」
促され、俺は先生の机の前の椅子に腰掛けた。
「それで?」
八堂先生が訊いた。
「え?」
「君は何を得て、何を失ったのでしょう? 自ら紡いだ物語巡りの果てに」
物語巡り? 自ら紡いだ?
「意味が……判りません」
#呟怖

廊下の照明がやけに無機質だった。
教室の外にも誰もいない。いや、微かな人の気配はするのだが、皆、扉の奥に閉じ込められているような。
何かがおかしい。

予言部の部室の前に立つと、表札には

〈顧問室〉

と書かれていた。
妙な胸騒ぎがする。息が苦しい。

ノブを回すと、扉は開いた。 
#呟怖

窓から陽が射している。完徹するつもりだったが少し微睡んでしまったようだ。
朝だ。文化祭当日。
だが教室には誰もいない。
……妙だ。あんなに苦労して作ったお化け屋敷のセットが丸ごとなくなっている。
ただ、なぜか後方の壁に、月岡芳年を模した女の幽霊が描かれている。

小夜に似ている。
#呟怖

何もかもが変わって、でも誰一人そのことに気づかないなら、何も変わっていないのと同じ。だから兎の目は赤く光るの、
と小夜が言った。

ギギギ俺たちはギギギ兄弟ギギギ、
と曽根が言った。

通ぬぼぞわああ路ずぼのわああ、
と三橋が言った。

君の因果は録音してあるよ、
と竹田が言った。 
#呟怖

「空と踊る男の #呟怖 〈竹田と俺〉シリーズ」をトゥギャりました。 https://t.co/JlFzRHFHP3

仄暗い森の奥。幼い俺は酷く怯えていた。俺以外の皆は殺された。他所者というだけで。恐ろしかった。容赦なく誰かを殺す誰かが。
樹々の葉叢から雨が滴る。落葉と土と苔の匂い。森は、こんなにも優しいのに。
だが俺は気づいた。

森は一切関わらない。森は、俺たちになどまるで関心がないのだ。
#呟怖

影はますます膨らみ、触手のように枝分かれし、辺りを覆いだした。

この〈場〉もそろそろ時間切れだね。会えて良かったよ。
無数の影の触手が森の王の身体を包み込む。
待ってくれ……まだ訊きたいことが、
最後に忠告しておくよ。

影が
視界と
意識を
埋め尽くし

(八堂先生には気をつけて)
#呟怖

知ってほしかったからさ。
ふいに森の王の背後の影が膨らんだ。
何を?
君も〈外〉へは出られないという残酷な真実を。
〈外〉? 俺は別にどこにも……
同時に、君に希望も託したかった。いつかは〈外〉へ脱出できるという、微かな、今にも消えそうな希望を。

影はさらに大きく膨らみ始めた。
#呟怖

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〈水底の白い手〉がいかに蠱惑的に水底の世界へ誘おうと、所詮は郷愁という美化された幻想に過ぎない。どこにも特権的な〈外部〉など存在しないのさ。君がいた人間の世界も、僕がいるこの動物の世界も。ただ等しく惨苦と矛盾を内包したままそこに「在る」だけだ。

なら、なぜ俺をここへ呼んだ?
#呟怖

森の王、あなたも〈水底の白い手〉に招かれたのか?
森の王は薄く笑った。微かに闇が揺れる。
君の友人……竹田君か、どうも彼は〈外部〉に過度な幻想を抱いているね。
〈外部〉?
地獄が疲弊していたら? 天国が老朽化していたら? こことは違う別の世界も、機能不全の出来損ないだったら? 
#呟怖

同じ一族の末裔。
不思議と驚きはなかった。薄々は予想していた。
牛頭は……
俺は訊ねた。声が闇を揺らすように響く。
怖がらせてすまない。僕の〈幻像〉を用いた。全て君が来る通路を開く為に必要だったことだ。大丈夫、実際は誰も死んでいない。小夜以外は。
小夜以外……
一瞬、胸が痛んだ。
#呟怖

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背格好は子供のようだ。
よく見ると、単に角付きのフードを被っているだけだった。
顔は見えない。
なのに、なぜだか左頬に傷があるのが判った。
これは。

やあ。
幼い声が響く。
俺はまた酷く懐かしい気持ちになった。

待っていたよ。元々は同じ一族の末裔である君を。

〈森の王〉が言った。
#呟怖

もう何階上がったのだろう。
薄暗さはそのままに、昇るたびに闇の気配が濃くなってゆく。

やがて開けた場所へ出た。
既に校舎ではなく、病院の広い待合室のように見える。

この高校はかつて精神病院だったと、竹田が。

ぼろいソファに腰掛けている誰かが見えた。
鹿のような二本の角がある。
#呟怖

4階からさらに階段が上へ続いている。
俺は昇ることにした。

薄暗い。だが見えないほどではない。誰もいない。
階をひとつ上がる毎に校舎の風景は次第に古びてゆくようだった。
ふと懐かしい気持ちになった。遠い昔の記憶を辿るような。
この懐かしさを感じる為にここまで来たのだ、と思った。
#呟怖

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肉肉肉、全てが三橋の肉の海に取り込まれてゆく、肉肉肉、曽根が肉の壁に挟まれた、肉肉肉、「ぐわああ助けてくれええ」壁が曽根を押し潰す、肉肉肉、一体どうすれば、

(2時22分22秒、今、開く)
小夜の声。

(森の王に会えれば、あるいは、竹田君にも)

俺は目の前に空いた穴に飛び込んだ。
#呟怖

腹大動脈下大静脈上横隔動脈上横隔静脈下横隔動脈下横隔静脈三橋の身体が腰動脈胃静脈正中仙骨動脈副腎静脈腹腔動脈腎静脈際限なく膨張し上腸間膜動脈総腸骨静脈下腸間膜動脈内腸骨静脈胃動脈外腸骨静脈全てを呑み込み胃冠状動脈副半奇静脈胃大網動脈深腸骨回旋静脈精巣動脈星状細静脈通路を開く
#呟怖

逃れてきたその一族を、森に棲む動物たちは容赦なく殺した。最後の一人の子供は美しく、妙に庇護欲と情欲を掻き立てた。その子は成体の動物全てと交わり、残らず骨抜きにした。やがてその子を巡る凄惨な争いの果てに、成体の動物は全滅した。幼き動物たちは平伏し、その子は〈森の王〉となった。
#呟怖

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ぼざぬわああにぼざわああ誰か一人でもぼぬじわああなばぜわああ動物の死を心底ぞぶのわああびじねわああ嘆き悲しむ人間が必要だったにべぜわああじのぼわああ通路を開く為にばぬじわああぜべのわああ君はべずぬわああばぜねわあああの御方と会うことになるにぶざわああぜなばわああ〈森の王〉と
#呟怖

牛頭が鉈を振り上げる。
俺は思わず一瞬目を瞑った。

目を開けると、小夜の首がなかった。

「これでいい」
跳ね飛ばされた小夜の首が呟く。

ぬぼぞわああ
ずぼのわああ

三橋が叫びだした。
その口が裂ける。顔が、身体全体が細かく裂けてゆく。

「やっと〈あの御方〉の為の通路が開かれる」
#呟怖

カツーン。カツーン。
「クソッ……純真な男心を玩びやがって」
隣で曽根が吐き捨てた。
お前こないだ黒い球体を〈俺の天使〉とか呼んでいただろ、と俺は内心思った。
カツーン。カツーン。
「さて、覚悟はいい?」
三橋の頭を撫でながら小夜が言う。

そして血塗れの鉈を持った牛頭が現れた。 
#呟怖

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「さ、さっきからわけの判らない話ばかり……いい加減にしろ!」
曽根が叫んだ。
「ここにいる殿方は、全員〈兄弟〉ですわね」
愉快そうに小夜が言い、曽根がまじまじと俺の顔を見た。今さら驚くことでもない。

カツーン。カツーン。
足音が響く。近い。

「この中で一人だけ、牛頭に殺らせる」
#呟怖

「『来る! 水底から、白い手が、来る!』」
小夜が挑発するような目で見つめながら囁く。
俺は愕然とした。
「なぜそれを……」
「予言ノートにあの言葉を書いたのは、私」
「何だって……」
「竹田君は、君と〈あの御方〉を会わせるつもりだったの。もっとも、方法は完全に間違っていたけど」
#呟怖

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