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1981年8月7日。ボストンの小さな映画館で1本のホラー映画が封切られた。
題名は『The Forest Of Madness』。
最後まで観た初回の客はニック・カースただ1人。
終映後、映画館は原因不明の出火でフィルムごと全焼した。

“嘘……ニック……あなたが!”
“僕だけの中に封じたよ。この呪いは”

“FIN”
#呟怖

シャン、シャン。開け放した窓から鈴の音が聴こえた。
妙に凶々しい音色。そうだ。郷里の町の路地は酷く入り組んでいて、その中に封じられた〈忌み道〉があった。誤って足を踏み入れると、必ずこの鈴の音が。
でもなぜ、今。

窓辺に行こうとして気づいた。

足が床につかない。ただ揺れている。
#呟怖

あの日。叔父さんは、バスがトンネルに入って車内が暗くなった途端、剃刀で自分の左耳を切ったよね。
違うんだ。責めてない。絶対に責めたりなどしない。
だって、僕ね。あの時。
何だか。とても。
言葉に出来ないな。

もうすぐトンネルだよ。剃刀は持ってる。

ただ見ていて。そこで。ずっと。
#呟怖

「そっか、ついに告白か」
「ああ。卒業したらもう会えないだろうし」
「くぅ、青春だねえ」
「ちぇ、知ってるよ。あの子が俺なんか眼中にないことは」
「全然違う。むしろ狙ってたのさ」
「え?」
「いや、何でもない」
「ところでどうした、その薬指の包帯」 
「これ? うん、じきに判るよ」
#呟怖 https://t.co/TLFuwbqA4q

「隣の部屋、妙な物音がして、怖くて……」

女は断る間もなく布団を運び込んできて敷いた。この旅館で一度見掛けただけなのに。しかし噎せ返るような色香。

「こっち向いて下さい」
向き直ると、女は身を寄せ胸に顔を埋めた。
「私の顔、もう思い出せないでしょう」

嘲るような声。冷たい唇。
#呟怖

「……そこに落ちてきたのは、Kの妻の首だった」

由奈さんが語り終えると、暫しの沈黙の後、皆が溜め息をついた。
「やっぱり怖いな、由奈さんの怪談は」
™Wッπが讃えた。
「オチでそうくるとはねー」
ゅ魑毛ワ馬$が続いた。

面子は甚だしく様変わりしたが〈女だけの怪談会〉は今夜も盛況だ。
#呟怖

15歳の誕生日の夜だった。
私がケーキの蝋燭を吹き消すと、母が突然言った。
「お前は父さんが母さんを強姦して出来た子なの」
父が私の前で土下座し、叫んだ。
「母さんを強姦してお前が産まれてしまい、申し訳ない!」

その時、居間の鏡に映った〈全否定人形〉が嗤っていた。糸を操りながら。
#呟怖

高い滝の上の断崖の際で身を屈めている男の背中を、女は見た。
「大丈夫ですか」
声を掛けると、振り向いた男の口許は笑っていた。
「こうして、今にも落ちそうだなと思いながら滝を眺めるのが好きでして」
「私もです」
「では、一緒に見ませんか」
「ええ」

二種類の距離が、少しずつ縮まる。
#呟怖

「また見たの?」
「見た……」
「その、プ、プリン・ア・ラ・モードみたいな顔の男」
「笑うな……」
「ごめん、想像しちゃって。顔にサクランボとかクリームとか乗ってるのかなって」
「乗ってるのは蚯蚓の塊……ほら」
「えっ」
「一見モンブランみたいだけど……蠢く」
「嘘……父さん……」
#呟怖

皆が君を応援しているよ。早く仲間になってほしくて。あの日、君が抽斗の奥に隠した、血で汚れた下着。君はその事実を都合良く忘れたけど、本当は皆、一人残らず見て撫でて嗅いでいたんだよ。誰もが喜んだ。このまま早く大人になれと。早く女になれと。早く母になれと。早く〈我々〉になれと。
#呟怖

しとど降る雨の中を、もうどれだけ歩いたのか。振り向いてはいけない。その言葉だけを胸に抱いて。だが雨の重苦しい匂いが、頭蓋の奥から模糊とした記憶を喚起する。側溝の汚泥を浚っていた。その中に、眼球が。みっしりと。思わず振り向く。ああ。そこにも。目が合う。流される。泥と眼の渦に。
#呟怖

昔あったよな『そこに怪異はあるのかい?』が決め台詞のドラマ。7人兄妹が次々と変死を遂げていき、最後に長男が……知らない? うん、皆そう言うよ。ここまではよくある怪談。でも俺はそのドラマにゲスト出演したのさ。怪異そのものとして。何? 許して? 助けて? そこに怪異はあるのか?
#呟怖

広大な丘陵地帯にあるK霊園には奇怪な話が幾つかあり、そのひとつが「七色の墓」である。ペンキで極彩色に塗られた墓が不定期に出現するのだという。どれも参る者の絶えて久しい墓で、犯人も目的も不明だ。

それとは関係ないが、今、私の墓の前で、全裸の男たちが人間ピラミッドを組んでいる。
#呟怖

大学のコンパで泥酔し、介抱してくれた女の先輩の部屋に成り行きで泊まった。先輩に興味はなかったが、下心は正直あった。シャワーを借り、石鹸を手に取った。妙にごわごわする。よく見ると中にみっしり陰毛が詰まっていた。突然先輩が浴室に入ってきた。傷跡のように赤黒い無毛の股間が見えた。
#呟怖

幼い頃、母と布団を並べて寝ていた。
就眠時には
「眠くなるまで天井だけをじっと見つめ続ける」
という厳格な決まりがあり、目を天井から逸らすと鋭く叱責された。
仄暗い部屋で、母も同様に真上を凝視していた。
なのに、なぜ私の視線の動きが判ったのか。

蠢く天井の模様、あれは、まるで。
#呟怖

教育関係の資料で「子供の自殺」を扱った本がある。原因の推察等は一切なく、ただ様々な子供の自殺の事例及び状況が淡々と詳述されているのだが、その中に線路に身を横たえ電車に轢かれて死んだ小学一年生の男子が死の間際「来ないで、来ないで」と呟いていた、という記載がある。誰が、それを。
#呟怖

「空と踊る男の #呟怖 〈竹田と俺〉シリーズ」をトゥギャりました。 https://t.co/JlFzRHXjdD

「変わらないものもある」
小夜がマスクを外した。
「君の罪」
「え」
「二人も殺しておいて、世界の〈外〉へ逃げられるとでも思った?」

赤い目が、口が、身体が、裂けてゆく。

ぞぶのわああ
びじねわああ

(動物の死を悼んだから通路が開くよ)

白い
手が
僕を
底へ

そして森に冬が来た。
#呟怖

僕と小夜は先生の死の直後に付き合い始めた。

「あの日以来、世界の全てが変わってしまったみたい」
小夜が神妙に呟く。
あの夜、確かに奇怪な体験をした。だがなぜか未だに記憶が朧気だ。
己の半身をなくしたような不可解な喪失感だけが心の奥で燻っている。

「でも」
僕の手を小夜が握った。
#呟怖

「竹田君」

八堂先生のお墓の前で手を合わせていると、背後から声がした。
小夜だ。赤いマスクをしている。

八堂先生の首吊り死体が旧校舎の一室で発見されたのは文化祭当日の朝だった。文化祭は中止になった。
そして年が明けた途端、未曾有の疫病が世界中に広まりだし、今年も開催は未定だ。
#呟怖

暗雲の下をバスが蛇行してゆく。
窓の外には霧深い湿原。遠くに稲光が見える。
竹田がICレコーダーを俺に渡した。
「これは……」
「今までの君の試みが全て録音されている」

霧の中でもう一人の俺が手を振っている。

再生ボタンを押す。

流れだした囁きと叫びを聴きながら、俺は目を閉じた。
#呟怖

竹田は俺の視線を受け止め、
「前に言ったろ、僕は君の鏡だと。君は誰も殺してなんかいないんだ。何も思い悩むことはない」
張りつめた口調で断言した。
そういうことか。
ふいに俺は涙ぐんだ。

バスの中には他に乗客はいなかった。

「安心していいよ。この運転手は、もう狂っていないから」
#呟怖

「行こう。僕と一緒に」
竹田が手を差し伸べた。
「どこへ……」
「決まっているじゃないか。帰るのさ」
……帰る場所など俺にあるのか。
竹田はやや照れたように目を逸らすと、
「君がどうしても帰りたくないなら、気の向くまま旅へ出てもいい」

その時初めて、俺は竹田の左頬の傷に気づいた。
#呟怖

「空と踊る男の #呟怖 〈竹田と俺〉シリーズ」をトゥギャりました。 https://t.co/JlFzRHFHP3

「竹田……」
「どうしたの、そんなに思いつめた顔をして」
喉が灼けつく。舌がもつれる。
「は、八堂先生に」
竹田が俺の肩を叩いた。
「気にすることないよ。ちゃちな心理詐術さ。あの人はね、狂っているんだ」
心理詐術。
以前にも誰かから聞いたような……

「それより、もうバスが来るよ」
#呟怖

校門、いや〈正門〉前の長い坂を、呆然としたまま俺は下った。竹田と何度も登り降りした坂を。
八堂先生の言葉が脳裡で際限なく渦を巻く。
その渦の中心に、何かが仄見える。

白い首。暗紫色の扼痕。

バス停の前に誰かが立っていた。

「遅かったね。ずっと待っていたよ」

竹田が微笑んだ。 
#呟怖

「どこへ行くのです? この建物から出たところで、決して〈外〉へは辿り着けませんよ。そんなものは存在しないからです。在るのはただ、自らの内面という牢獄と、格子を隔ててその牢獄と地続きのこの現実のみ。だがいいでしょう。所詮、私は非公式な立場だ。続けるがいい。君自身の地獄巡りを」
#呟怖

「君がいつ〈竹田〉を産み出したのか、正確には把握していませんが、おそらくかなり以前から萌芽はあったのでしょう。そして少女殺害を契機に、遂に確固たるものとして現れた。少し遅れて〈小夜〉も、その他の存在も」

視界が狭まってゆく。八堂先生の声が少しずつ遠ざかる。

俺は席を立った。
#呟怖

「まだあの女狐と隠れて会っているの?」

校舎の裏山の沼の畔で、竹田が言った。
俺はうんざりして、
「竹田。お前、女を憎んでいるんじゃないか?」
竹田は肩を竦め、
「それは君さ。僕は君の鏡だからね」
「鏡?」
「あそこで溺れている少女を、君は助けようとしないだろ?」

何も見えない。
#呟怖

「殺した……俺が……誰を?」
「身元不明の少女です。君は〈小夜〉と呼んでいたようですが」
小夜を、俺が殺した? 馬鹿な。
「君の左頬の傷は、おそらくその時についたものですね?」
咄嗟に俺は指先で左頬に触れた。だが感触だけでは判らない。

なら、牛頭の、森の王の左頬の傷、あれは……
#呟怖

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