#呟怖 香水が好きな君。ねっとりとした媚びるような香りを纏わせた君から、隠せないかおり。
香水そのものだけならば、ここまで魅力を感じただろうか。かすかに香る、君そのものの香りに、彼女の存在、生命を感じて惹かれたのだ。
そんな彼女の部屋に招かれた。なあ、そのタイル壁の向こう、あのにおい https://t.co/TNHKxB6A7h 2021年10月29日 19:24

#呟怖
秋桜の季節に生まれた乙女座の私は
純粋なまま育ち花のような少女になりました
十五の秋、夕暮れ
口づけまで許した彼にピンクの花畑の向こうへと手を引かれ
花畑に押し倒されてから記憶がないのです

目覚めた時に私の服に乱れはなく
暗闇を照らした先には頭の潰れた彼
真っ赤な大輪の花ひとつ https://t.co/B452c9JBO3 2021年10月26日 23:24

#呟怖　失敗を重ねないよう、ルールを増やしていきましょう。さぼっちゃいけません。怠けちゃいけません。

……娯楽に現を抜かしちゃいけません。目を逸らしちゃいけません。……逆らっちゃいけません。……

息をしちゃいけません。倒れちゃいけません。死んじゃいけません。生きちゃいけません。 https://t.co/Q1POeWd0QU 2021年10月21日 23:31

#呟怖
「いい世の中になったもんさ」
男は言う。
「都会人は冷淡と言うがね、ひとでなしが暮らそうが放っといてくれる。やっと自由になれた」
男はパーカーを脱ぎつつ言う。
「ただなぁ、『信仰』、科学都市じゃ喰えなくてな。次は貴殿の身体、拝借するぞ」
神くずれのヒトは裂けた口を大きく開いた。 https://t.co/sKol975tig 2021年10月16日 8:56

#呟怖　「人生最高の日、おめでとう。クライマックスといきましょうか」
薄汚い倉庫で、縛り上げた花嫁を叩き起こす。
「貧乏人って、新郎新婦ともに素敵な渾名で呼んでくれて、中学時代からずっとお世話になりましたわ」
煙草を一息吸って、投げた。

「その割にあんたのドレス、化繊の安物じゃない」 https://t.co/7MSM9qncFm 2021年10月14日 22:15

#呟怖　誰も悪くないんですよ。配管が朽ちて水道に重金属混入。点検したばかりのシャンデリアが落ちる。それどころか、40度の温泉がいきなり沸騰するわ、地震もないのに彫像に支配人が潰されるわ。探偵さん、どうなってるんですかこのホテル。探偵さん？……
タバコ絨毯に落ちて、カーテン、に…… https://t.co/weUmCB4F6N 2021年10月7日 19:55

#呟怖
神父ひとりだけの小さな教会から、女の歌声が響く。不審だが、決して中を覗いてはならない。
声の主を見て、叫ばぬ者などいなかったのだから。

神父と恋に堕ち、その身も心も朽ち果てた少女は、誓いを破った彼のために歌い、ふたりだけの晩餐会を始める。
哀れな子羊の“パン”と“葡萄酒”で。 https://t.co/DoC5qfzfPN 2021年9月29日 21:46

#呟怖
夕陽差す境内に、木の葉がさざめく。
「もう帰るよ」
娘は野良猫と戯れる振りをしながら、真っ青な顔色をしている。私は、手を引いて帰ろうとした。
「だめ。おうまがどきだよ」
何故娘がそんな言葉を知っているのか。
ふと鳥居の外に目をやると、日没前とは思えない程の暗闇に包まれていた。 https://t.co/nfLzaTOhMN 2021年9月23日 14:42

#呟怖
お口直しに、レモンのソルベでございます。
モヒートの香りをつけ、ミントを飾りつけた、さっぱりとした味わいに仕上げております。

……おや、どうしましたお客様。
苦い？
スプーンを落としてしまって。椅子から落ちては、お行儀が悪いですよ。

あなたを無事に帰す訳ないでしょう？嘘つき。 https://t.co/D29YTCraVV 2021年9月22日 11:58